温度分布を計算して、CAE解析結果と比較しましょう。
導体の発熱量と単位体積当たりの発熱量は次式で計算します(式31、式32)。
表1と表2に数値代入例を示します。銅の熱伝導率は384[W/(m.K)]ですが、導体内部の温度分布を見るために、導体の熱伝導率を3[W/(m.K)]にしています。着色したセルには計算式が入っています。表1の値を「紙と鉛筆による計算結果」と呼びます。
図5にCAE解析結果を示します。表3に紙と鉛筆による計算結果とCAE解析結果の比較を示します。両者は一致しました。
図6に温度分布を示します。
図6左図の赤色プロット(紙と鉛筆 導体)は式14によるもので、緑色プロット(紙と鉛筆 被覆)は式28によるものです。両者が一致していることは分かりますが、導体内部の温度分布を詳しく見ましょう。
図7に温度分布の拡大を示します。
図7右図の黒色○部の温度分布の傾きに注目します。「円筒座標系の半径座標rにマイナスはない」と述べました。つまり、半径がマイナスの世界に熱は伝わりません。半径方向熱流束はゼロなのです。この結果、フーリエの法則から温度勾配はゼロで、グラフの傾きは水平になるはずです。しかし、CAE解析結果のグラフの傾きはゼロになっていません。
紙と鉛筆、CAE解析の双方における導体中心温度(最高温度)に違いはないので、特に問題視することではありませんが、「この筆者、また細かいこと言ってるよな〜」と思われそうです。
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