工場で“置き薬”方式で間接材提供、年間1650時間削減するミスミの新サービス製造マネジメントニュース(1/2 ページ)

ミスミグループ本社は、間接材トータルコストダウンサービス「MISUMI floow」の提供を開始した。“置き薬”方式の自動販売機なども活用しながら、従来手つかずだった間接材の一元的な管理と効率化にメスを入れる。

» 2025年04月04日 11時00分 公開
[三島一孝MONOist]

 ミスミグループ本社(以下、ミスミ)は2025年4月4日、間接材トータルコストダウンサービス「MISUMI floow(フロー)」の提供を開始した。“置き薬”方式の自動販売機なども活用しながら、従来手つかずだった間接材の一元的な管理と効率化にメスを入れる。

photo 高頻度品を自由に調達できる自動販売機。自動販売機内の商品はミスミが管理し、取り出すと設置側の企業のものとして自動で発注が行える仕組みとなっている[クリックで拡大]

手つかずだった間接材調達を効率化

 MISUMI floowは、従来デジタル化が進んでいなかった間接材の調達を、ミスミが提供するサービスプラットフォームを活用することで一元化し、総合的なコストダウンにつなげるとともに、間接材の調達や受け入れなどの負荷を低減するサービスだ。

 量産工場において、直接材については購買や生産管理システムでの管理などデジタル化が進んでいるが、間接材については種類が多い割に購買量は少なく、さらに発注頻度も不定期であるため、個々の効果が小さくDX(デジタルトランスフォーメーション)が進みにくい環境となっている。

 ミスミ 日本Factory-MRO企業体 企業体執行役員の大内郁浩氏は「改善に踏み込みにくい一方で、間接商材に関する調達、受け入れ、在庫などにかかる作業負荷は、1工場当たり年間約1650時間になる。これらを改善する必要がある」と述べる。

photo 間接材の業務改善における課題[クリックで拡大] 出所:ミスミ

 MISUMI floowのポイントは、頻度に合わせた提供方式を用意している点だ。手袋やマスクなど月に数回以上発注する高頻度で使用する製品については、工場内に自動販売機を設置し、そこから常時利用できるようにする。その際、自動販売機内の製品の補充や管理はミスミが行うが、自動販売機から取り出した段階でユーザー企業のものとなり、発注点に到達次第、自動でミスミに発注が行われる仕組みとなっている。

photophoto 現場の自動販売機でタッチパネルで注文する様子(左)と商品を取り出す様子。ロッカー型でないタイプは重さにより個数管理を行っている(右)[クリックで拡大]

 一方でそこまでの頻度で使用しない中頻度使用品については、定期便配送でカバーする。さらに頻度が低い都度調達品は、ミスミのECサイトの専任担当受付で見積もりを行う形とする。

 大内氏は「間接材に関する負荷をミスミがノウハウを生かして総合的に請け負うことで、未整備の調達環境の改善を一気に進めることができる。ミスミとしては、新たにMISUMI floowを使用してもらうことで製品の購入量が増えればよいという考えだ」と語る。

photo 購入頻度に応じた間接材のトータルサプライチェーンとその価値[クリックで拡大] 出所:ミスミ
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