配管流れの基本的な計算方法はじめての化学工学(5)(1/2 ページ)

化学プラントでは、原料や製品、中間生成物などさまざまな流体を目的の場所に輸送する必要があります。それぞれの単位操作の間は配管をつないで移送されることから、配管はプラントの血管とも言えます。今回は配管設計の基本となる事項を解説します。

» 2025年04月03日 10時00分 公開
[かねまるMONOist]

基本理論:連続の式とベルヌーイの定理

 まずは流体計算の基本となる2つの理論を紹介します。それが連続の式とベルヌーイの定理です。

 連続の式は流体における質量保存則を表します。流れが途切れていない連続的な系において、流体が流入する量と流出する量は等しいことを示します。つまり配管のどの点を取っても、質量流量は変化しないことを意味します

 例えば途中でレジューサにより配管径が小さくなった場合、質量流量は一定で流速が増加します。つまり、密度を一定と考えれば配管断面積と流速が反比例します。

図1 連続の式のイメージ 図1 連続の式のイメージ[クリックで拡大]

 ベルヌーイの定理は、流体におけるエネルギー保存則を示し、位置エネルギー、圧力エネルギー、速度エネルギーの関係式として表されます。

図2 ベルヌーイの定理。 図2 ベルヌーイの定理。ρ:密度[kg/m3]、g:重力加速度[m/s2]、z:高さ[m]、P:圧力[Pa]、u:速度[m/s][クリックで拡大]

 流体計算の一例として、床からの高さが同じである水平配管についてのエネルギーを考えます。高さは変わらないことから位置エネルギーは一定です。そして配管内径が小さくなることで、連続の式により流速が増加(速度エネルギーが増加)します。その分、圧力エネルギーは小さくなります。

図3 水平管におけるエネルギー比率の変化 図3 水平管におけるエネルギー比率の変化[クリックで拡大]

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