なぜわれわれの生活が苦しく感じるのか? 等価可処分所得で見てみよう小川製作所のスキマ時間にながめる経済データ(33)(2/3 ページ)

» 2025年03月31日 06時00分 公開

日本の年代別可処分所得の推移

 それでは、具体的に日本の可処分所得のデータを見てみましょう。今回は、まず年齢階級別に、構成比がどのようなものなのかを見てみます。図1が年齢階級別の1世帯当たりの平均所得です。

photo 図1  2023年の1世帯当たり平均所得[クリックで拡大] 出所:国民生活基礎調査を基に筆者にて作成

 前ページでご紹介した各項目がどのような割合で分布しているのかがよく分かりますね。

 50代までは雇用者所得が大半を占めており、年齢階級が上がるごとに総所得や可処分所得、拠出金なども増えてきます。総所得と可処分所得の関係は次のようになります。

  • 30代:総所得609万円、可処分所得459万円
  • 40代:総所得696万円、可処分所得528万円
  • 50代:総所得759万円、可処分所得567万円

 おおむね総所得の7〜8割が可処分所得となっていることが分かります。60代以降になると急激に雇用者所得が減り、公的年金や恩給の割合が増えていきます。仕事をリタイアする人の割合が増え、主な収入が年金へと変化していることを示しています。事業所得などの割合が非常に小さいので、営業者が相対的に少ないことが分かります。また、財産所得もごくわずかであることも見えてきます。後で国際比較する際に、このあたりの構成比も注意深く見ていきたいところです。

平均所得の時系列変化

 日本の家計所得の特徴を捉えるために、1世帯当たりの総所得の時系列変化についても押さえておきましょう。図2は年齢階級別の1世帯当たり平均所得の推移です。

photo 図2 1世帯当たりの平均所得推移[クリックで拡大] 出所:国民生活基礎調査を基に筆者にて作成

 給付なども含めた総所得の推移となりますが、30歳未満を除き、どの年齢階級でも1990年代後半をピークにして減少し、停滞しています。50代では1997年の平均所得が875.3万円だったのに対して、2022年には758.5万円と100万円以上減少しています。また、40代でも1997年が766.6万円に対して、2022年では696万円で70万円程の減少があります。これは、各年齢階級において、男性労働者の平均給与が減少していることと符合しますね。

 ただし、これは世帯の平均所得です。近年では既婚世代で共働きが増えている一方で、単身世帯が増えている特徴があります。単身世帯の割合が増えると、全体の平均値が下がりやすくなることも考えられそうです。このように、世帯の中の人員構成の変化も伴っていると推定されるため、図2のような平均値だけでは実態が正確に把握できない可能性があります。

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