相模原物流センターの倉庫自動化プロジェクトは同センター内で完結しておらず、オリンパスの他部署と連携した効率化の取り組みも始まっている。
オリンパスが扱う医療機器や関連する消耗品など医療製品の包装サイズは必ずしも倉庫での保管や物流での運搬などを前提としたものにはなっていない。これまでは、医療製品のサイズに合わせて外箱などの包装を設計するのが一般的だった。しかし、相模原物流センターから見れば、新製品が出るたびにそのサイズに合わせて保管方法を都度検討しなければならない。また、倉庫自動化プロジェクトでは、自動倉庫システムからの仕分け作業にコンテナを活用しているが、このコンテナのサイズに製品の包装サイズが合致していないことも多い。自動倉庫システムの取り扱い対象ではない大型製品についても、寸法が規格として定まっているパレットにちょうど収まるような包装であればトラックの荷室にも効率的に搭載できるが、パレットからはみ出るようだと荷室に隙間が発生したり、無理に詰め込むことで貨物同士が接触して破損するリスクが出たりする。
しかし、オリンパス社内で倉庫自動化プロジェクトの成果に対する評価が高まることで「これまで物流部門からの声が届くことはなかった」(原氏)という設計開発部門とのコラボレーションが始まっている。相模原物流センターでの保管やトラックへの積載などを想定した「パッケージ設計ガイドライン」を共同で策定するとともに、使用するカートンや集合箱の絞り込みも行い、設計者が品質やコスト、物流に配慮しながら最適な設計を効率よく行える体制を整えている。
大久保氏の前任のSCM日本地区統括で、現在はサプライチェーンのより上流に関わる業務を担当しているオリンパス SCMリードESD、グローバル 本部長の田中亮氏は「倉庫から送り出したら終わりではない。相模原物流センターから医療機関に直接届く割合は5%以下であり、ほとんどは販売パートナーを経由して届くことになる。『医療を止めない物流』を実現するには、これら販売パートナーとの連携も必要になる。また、他の医療機器メーカーや医薬品メーカーなどとの共同配送も検討していきたい。かつてオリンパスで展開していたデジタルカメラなどの映像事業では共同配送が当たり前であり『営業は競合でも物流は協業』が常識だったし、医療機関にとっても個別に届くよりもまとめて一緒に届く方が効率的ではないか」と述べている。
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