ラグランジュの方程式(その2)~ラグランジュの方程式の導出手順と適用例~1Dモデリングの勘所(40)(4/5 ページ)

» 2025年02月18日 06時00分 公開

減衰がある場合のラグランジュの方程式の導出

 摩擦がある振動系にラグランジュの方程式が適用できないことは、その理由も含めて既に述べた通りであるが、粘性減衰力が作用する系については以下のようにしてラグランジュの方程式を導くことができる。ばね力や慣性力が位置エネルギーや運動エネルギーから得られたのと同様に、減衰力にも適用できる“ある関数”を導入することにする。

マスとばねと減衰からなる1自由度振動系 図3 マスとばねと減衰からなる1自由度振動系[クリックで拡大]

 図3に示す振動系において、質点に作用するばね力と減衰力は、

式37 式37

となる。ばね力Xは位置エネルギー、すなわちばねの弾性エネルギー

式38 式38

より、

式39 式39

を用いて導くことができる。

 同様の考え方で、レーリーは、

式40 式40

なる関数Dを導入し、

式41 式41

によって、粘性減衰力が求められることを明らかにした。ここで、Dを「散逸関数」と呼ぶ。散逸関数は粘性減衰力によって消費される単位時間当たりのエネルギーの2分の1に相当する(ここではその理由の説明は省略する)。すなわち、散逸関数の単位はエネルギーではなくパワーである。式40を一般の質点系に拡張すると、

式42 式42

となり、これから粘性減衰力は、

式43 式43

となる。一般粘性減衰力は、

式44 式44

より求めることができ、既出の

式13(再掲) 式13(再掲)

を用いると、

式45 式45[クリックで拡大]

となる。ここで、式15でQorからQrを分離して、

式46 式46

と置くと、ラグランジュの方程式は、

式47 式47

あるいは、

式48 式48

となる。

 以上を、図3に示した簡単な1自由度系で試してみる。ここで、ラグランジュの方程式は、

式49 式49

となる。このとき、

式50 式50

となり、これを上式に代入して偏微分すると、

式51 式51

を得る。

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