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日立の水・環境BUはユーティリティーにプロセスをつなげグリーンを掛け算する日立の新成長エンジン「コネクティブ」の全貌(6)(2/3 ページ)

» 2025年02月17日 08時00分 公開
[朴尚洙MONOist]

日立金属の技術部長から日立プラントサービスの社長へ

MONOist 日立グループに入社してからの経歴を教えてください。

中津英司氏(以下、中津氏) 九州大学で金属材料を研究していたが、1997年4月に日立金属(現プロテリアル)に入社し、安来工場(島根県安来市)の冶金研究所に配属された。安来工場は、たたら製鉄を今に伝える工場として知られている。入社2年後の1999年に、安来工場の前身の雲伯鉄鋼合資会社の発足から100周年を迎えるということで、それを記念した新材料の開発を担当した。

日立 執行役常務 水・環境BU CEOの中津英司氏 日立 執行役常務 水・環境BU CEOの中津英司氏

 この新材料を生産するため工場の技術部に入って、新材料を顧客に活用してもらうための技術サービスも担当した。また、安来工場は自動車向けの業務が多かったこともあり、自動車メーカーのゲストエンジニアも経験しており、このときは金型開発を支援した。材料の研究の現場から作る現場、そして顧客側となる使う現場も経験できたのは大きな財産だ。これらの業務を経て、2014年4月に安来工場の技術部長に就任した。

 2016年4月に大きな転機を迎えた。日立金属を離れて、プラントエンジニアリングを手掛ける日立プラントサービスの取締役社長に就任することになった。それまでチーム長はやってきたが、全く異なる分野で社長をやるというのは大きな挑戦になった。実際に、安来工場の技術部の約80人に対して、日立プラントサービスは1000人以上と規模がはるかに大きい。さらに、材料からエンジニアリングというのも大きな変化だった。しかし、それまでの得てきた現場の経験から見れば、顧客の工場の現場に入って望むものを作るという意味では同じだと考えており、大きな挑戦ではあっても違和感はなかった。そして、2019年4月からは、現職の水・環境BUのCEOを務めている。

MONOist CIセクターにおける水・環境BUの役割について教えてください。

中津氏 水・環境BUには、日立における上下水道や工場/プラントといったユーティリティーソリューションを製販サ一体でスピーディーに展開できる体制が一つの組織にまとまっている。小さな組織がそれぞれ事業を展開している状態では難しいであろう大きな仕事に取り組める組織になった。また、リカーリングビジネス化や、デジタルソリューション群「Lumada」の適用比率を高めるなどして収益性の向上も図っている。

 フロントビジネスを担当する水・環境BUは、水関連のインフラや工場の建設を進める顧客と相対する最前線に立っている。だからこそ、CIセクター傘下の日立インダストリアルプロダクツや日立産機システム、日立グローバルライフソリューションズ(日立GLS)などのプロダクトを提案したり、それらのプロダクトとユーティリティーをデジタルでつなげていったりという役割がある。

 例えば、顧客が新工場を建設するということは、今後5~10年を見据えたチャレンジに向けた投資になるわけで、新しい設備やソリューションを提案できるチャンスになる。先述のプロダクトだけでなく、インダストリアルデジタルBUのサプライチェーンソリューションなどを掛け合わせてバリューチェーンを作り出していく必要がある。

 また、ユーティリティーだけにとどまらず、そこにプロセスを加えた提案も進めていきたい。インダストリアルデジタルBUが注力しているラインビルドや、日立ハイテクの計測装置などを含めて、CIセクター内で横串を通した提案を行う。半導体工場であれば、水・環境BUにはクリーンルームが、日立ハイテクには計測装置がある。そして、工場の稼働を24時間止めないという観点で、再生水の循環やエネルギー消費の削減、メンテナンスをCBM(状態基準保全)に変えるなどさまざまな取り組みがあり、CIセクターから提案することができる。

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