ハードウェアの進化に加え、大きいのがソフトウェア面での進化だ。Skypodシステムは以前から作業をバッチ処理ではなく、リアルタイム処理を行えることが特徴となっている。そのため、システム処理で不要な滞留時間を生むことなく、その分多くのロボットを動かすことで、自動で素早い動作を可能としている。しかし、新製品ではこの作業の順番を意味のある形で順番付けすることにより、周辺工程の効率向上につなげられるようにした。
例えば、従来の物流現場では、自動倉庫から次々に運び出されてきた商品を、出荷に必要な分に集め(ピッキング)、それをパッケージング用のエリアに運んで、あらためて数の確認や梱包材やドキュメントの挿入などを行ってパッケージングしていた。パッケージング専用の作業エリアやそのためのコンベヤーなどが必要だった。
しかし、新製品ではピースピッキングとケースピッキングの両方に、1システムで対応できるようにした。ピッキング用のワークステーションに出荷用のケース(出荷箱)もロボットに載せて運び、商品を移し替える手間を削減し、そのまま出荷することができるようになる。「パッケージング用の専用スペースやコンベヤーなどを一気に削減できる。自動倉庫というだけでなく周辺の作業工程そのものを変革できる」と立脇氏は訴える。
さらに、各注文に対し、自動順立て出庫を可能とした。パートナー企業のウェアハウスマネジメントシステム(WMS)と連携して、ロボットが注文をグループ化し、指定した順序でエクスチェンジャーに搬送する。これにより、商品の配送ルート、配送先店舗の棚割り、その他の荷降ろし要件に基づいたパレット、コンテナ、トラックへの正確な積み込みを、Skypodシステムのみで実現できるようになったという。「例えば、店舗での荷下ろしの際に順番を入れ替える作業などを従来行っていたが、そういう作業を倉庫内で解決できるようにした。外部のWMSやトラックマネジメントシステムとの情報連携については、倉庫制御システム『Deepsky』でAPIなどを通じて行えるようにしている」(立脇氏)。
物流業界は人手不足などで苦しい環境に置かれているが立脇氏は「倉庫をビジネス成長の基盤にするように、発想の転換を起こしたい。サプライチェーンのゲームチェンジャーとして、日本の物流業界を変えていく」と語っている。
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