Exotecの日本法人Exotec NIHONは2022年12月6日、東京都内で記者会見を開き、Exotecの自動ピッキングソリューション「Skypodシステム」を複数の倉庫に設置、運用するためのパートナーシップ契約をヨドバシカメラと締結したと発表した。
Exotecの日本法人Exotec NIHONは2022年12月6日、東京都内で記者会見を開き、Exotecの自動ピッキングソリューション「Skypodシステム」を複数の倉庫に設置、運用するためのパートナーシップ契約をヨドバシカメラと締結したと発表した。
Exotecは2019年に、ユニクロを展開するファーストリテイリングとも同様の契約を結んでいる。
Skypodシステムは12mの高さまで昇降する最大可搬重量30kgの自動搬送ロボットと、商材を保管するビンと呼ばれる専用コンテナ、そしてビンを格納するラックなどから構成される。ロボットはラックを自らよじ登って商材を回収し、ピッキングステーションまで届けるため、高い保管密度が可能になり倉庫業務全体を効率化する。事業環境の変化に応じて容易に拡張などができる柔軟性も特長の1つだ。
Exotecは2015年にフランスで創業し、2020年にExotec NIHONを設立した。世界11カ国に展開しており、全世界で4000台のロボットが稼働、その内日本では1000台が稼働しており、売り上げの30%は日本が占めている。ロボットの生産はフランスで行っている。
全世界のSkypodシステムはフランス、米国、日本に置かれたコントロールセンターでタイムゾーンに分けて24時間遠隔監視しており、トラブル時の80%はコントロールセンターからの遠隔操作で解決するという。
ヨドバシカメラ 代表取締役社長の藤沢和則氏は「実際に稼働している欧州の施設も視察し、非常に合理的で素晴らしい製品だと感じた。10年ほど前から倉庫にロボットの導入を進めてきたが、注文から出荷まで1時間以内というわれわれの物流スピードの基準に達しないものが多かった。Skypodシステムなら、われわれのスピードに付いてこれる性能を発揮していただけると期待している。現在、われわれは商品数として850万SKU(Stock Keeping Unit)を取り扱っており、それが日々増え続けている。お客さまに対してより速く、より多くの品ぞろえをお届けしたい」と語る。
Exotec NIHON 取締役社長の立脇竜氏は「ヨドバシカメラに採用いただけたことはわれわれにとってまた大きな一歩になる。今後は、さまざまな業界にSkypodシステムを提供して、日本の倉庫物流にロボット技術を通して革新をもたらしたい」と意気込む。
矢野経済研究所によると、国内の物流ロボティクス市場の規模は2025年には583億円、2030年に1500億円に上るとみられている。Exotec NIHONでは2025年に年間300億円の売上高と物流マテハン業界のトップ5入りを目標に掲げる。立脇氏は「日本の倉庫はまだ自動化が進んでいない。自動化している箇所も、古いコンセプトのままであることが多い。Eコマースやオムニチャネルが発展している中で、効率化が進んでいない」と指摘する。
ユーザーサポートを強化するため、導入のコンサルタントや保守を担うエンジニアを中心に人員を強化し、2022年中に70人、2023年中には100人までを増強する。さらに2023年春をめどに、東京近郊に新たなショールームを開設する予定だ。
小売り、卸売り、Eコマース、ヘルスケア、食料品などに加えて、日本では製造業も注力分野に加える。「日本市場を考えると製造業における物流を忘れてはいけない。自動車や電機の完成品、半完成製品をいかに効率よく届けるかも課題になっている。製造ラインの自動化は進んでいるが、製造ラインと製造ラインの間や製造後の物流は手作業が残っていて効率化が進んでいない。われわれはそこに注力して製造業の力になりたい」(立脇氏)。
Exotecの共同創業者でCEOのロマン・ムーラン(Romain Moulin)氏は「数年以内に10億ドルという売上高を達成できると考えているが、全体の市場規模に鑑みるとそれでもまだ小さい。もっとチャンスはある」と事業拡大に自信を見せる。
2023年は世界的に景気後退の観測もあるが、ロマン氏は「われわれにとって需要が低迷している兆候は一切感じられない。各国で人材不足の問題が浮上しており、それはユーザー企業にとって長く続くと思われる。予測不可能な市場環境の中で、効率の高い自動倉庫への投資に低迷は感じられない」と語る。
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