「混流」と「自動化」で冷蔵庫の生産効率を3割向上、リサイクルにも技術を反映日立GLS栃木事業所レポート(後編)(4/4 ページ)

» 2024年12月24日 07時45分 公開
[朴尚洙MONOist]
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栃木事業所の冷蔵庫生産ラインのノウハウをリサイクル技術に還元

 栃木事業所で生産されている冷蔵庫は家電リサイクル制度によって、リサイクルが義務化されている製品である。同事業所における家電生産のノウハウを生かして1999年5月に設立されたのが関東エコリサイクルである。日立GLSの他、リサイクルされる家電製品を手掛ける三菱電機、ソニー、シャープ、富士通ゼネラルなども出資している。

 操業開始は家電リサイクル法が施行された2001年4月。家電リサイクルの処理能力は1日506トンで、従業員は約200人。国内における家電リサイクルはAとBの2グループ体制で運営されており処理施設は全国18カ所ある。関東エコリサイクルはBグループに所属しており、北関東から新潟県、福島県、長野県北部の29カ所の指定取引場所をカバーしている。

関東エコリサイクル管轄の収集エリア 関東エコリサイクル管轄の収集エリア[クリックで拡大] 出所:関東エコリサイクル

 リサイクルする廃家電の処理工程は、構成部品に分解する手解体工程となる前処理と、破砕機や粉砕機、選別機などの大型装置を使って金属や樹脂など再利用可能な原材料に変えていく後処理に分かれている。

廃家電の処理工程 廃家電の処理工程[クリックで拡大] 出所:関東エコリサイクル
関東エコリサイクルのリサイクルプラントにおける処理工程のレイアウト 関東エコリサイクルのリサイクルプラントにおける処理工程のレイアウト[クリックで拡大] 出所:関東エコリサイクル
冷蔵庫リサイクルの前処理に当たる手解体工程の様子 冷蔵庫リサイクルの前処理に当たる手解体工程の様子[クリックで拡大]
後処理では大型の破砕機や粉砕機、選別機を用いている 後処理では大型の破砕機や粉砕機、選別機を用いている[クリックで拡大]

 家電リサイクルの処理工程では、新たに家電に採用される材料などへの対応が重要になってくる。例えば、家電リサイクル法の施行時はブラウン管式が当たり前だったテレビは、現在では液晶パネルや有機ELパネルを用いる薄型テレビに移行している。製品としては販売されていないブラウン管式テレビだが、現在も廃家電として家電リサイクルには出されるため薄型テレビと併せて対応する必要がある。

 日立GLSの栃木事業所が手掛ける冷蔵庫でも、ハイエンドモデルを中心にドア部分にガラスを採用した製品の比率が高まっているという市場の変化があった。そこで、日立GLSと日立製作所は共同で冷蔵庫のドア部分からガラス板を自動で分離するシステムを2021年11月に開発した。同システムは栃木事業所内にある関東エコリサイクルにも導入されており、現在も設備としての効率的な運用を目指した改良などが進められている。

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