たこ焼き屋の出店に必要な食材を確保する。
たこ焼きに必要な食材を選定する。
食材候補を表1に示す。
食材 | 必要量 |
---|---|
たこ(必須) | 3kg |
たこ焼き粉(必須) | 5kg |
水(必須) | 10リットル(学校で用意) |
卵 | 200個 |
サラダ油(必須) | 1ボトル(1リットル) |
たこ焼きソース(必須) | 10ボトル |
青のり | 12パック |
かつお節 | 60パック |
マヨネーズ | 4ボトル |
表1 たこ焼き模擬店の食材候補 |
「必須」の食材を確保できない場合、下記のフローに従って出店可否を検討する。
選定した食材を調達する。調達した食材は、冷蔵庫に入れ、衛生面を確保する。確保できない場合は出店を中止する。
たこ焼き作成作業を行う。
たこ焼きの調理法の手順書を作成する。
試食会を行い、提供するたこ焼きを決定する。
たこ焼き屋の出店に必要なお金の管理を行う。
各係からお金の依頼が来た場合は、手配する。その際は、ノートに記載し管理できるようにする。お金が足りない場合は、釣銭として準備したお金から供出する。
支出したお金の領収書をまとめる。領収書がない場合は、自腹になることをきちんと周知する。
お客からたこ焼きの料金を徴収し、必要であればお釣りを渡す。釣銭切れを起こさないように8万円分の1000円札、3万円分の100円玉を準備する。
釣銭切れの場合は、下記に従って対処する。
文化祭終了時に、収入、支出、レシートをまとめて会計報告を文化委員に行う。
たこ焼き屋のPRを行い、集客業務を行う。
提供するたこ焼きの価格をまとめたメニュー表、看板を記述する。
学校内を回り、たこ焼き屋の場所とPRを行う。
今回は、前回の連載第182回で作成した異常系を、連載第180回で作成した仕様書に反映しました。文化祭の模擬店だと思って仕様を書き始めましたが、異常系まで考えると、3000字、230行程度(筆者の想像以上)のボリュームに膨れ上がってしまいました。人間の「臨機応変」がいかに偉大か痛感します。
筆者の経験では、設計フェーズでは、内容が具体的になるため10倍の200〜300行、コーディングではさらに細かくなるため、10倍の2000〜3000行に膨張すると思われます。ここが、ソフトウェア開発が大変なところです。今回の事例をきっかけに、要求仕様書作成のイメージや、仕様書を書くことの大変さを感じていただければ幸いです。(次回に続く)
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東海大学 大学院 組込み技術研究科 非常勤講師(工学博士)
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