東京理科大学は、粒径1nm程度の微細な金属ナノクラスターの表面構造を制御し、水素生成触媒活性を高めることに成功した。高価な貴金属を使用する電極触媒は、金属使用量を削減できる高活性化が求められている。
東京理科大学は2024年10月25日、粒径1nm程度の微細な金属ナノクラスター(NC)の表面構造を制御し、水素(H2)生成触媒活性を高めることに成功したと発表した。
今回の研究では、3通りの配位子交換反応を用い、金(Au)原子に白金(Pt)原子をドープした従来のAuPt合金NCである[Au24Pt(TBBT)18]0に加え、ステープル構造(表面構造)の異なる[Au24Pt(TBBT)12(TDT)3]0、[Au24Pt(TBBT)12(PDT)3]0をそれぞれ合成した。
この3つの金属NCについて水素発生反応(HER:Hydrogen Evolution Reaction)の活性を調べたところ、[Au24Pt(TBBT)18]0に比べ、[Au24Pt(TBBT)12(TDT)3]0は3.5倍、[Au24Pt(TBBT)12(PDT)3]0は4.9倍に高活性化していることが明らかとなった。
[Au24Pt(TBBT)12(TDT)3]0と[Au24Pt(TBBT)12(PDT)3]0では、TDTやPDTにより、金属コアであるAu原子の溶媒露出表面が大きく、プロトン(H+)のアクセスが容易になりHERが向上したと考えられる。
水(H2O)からH2を製造する水電解技術は、ネットゼロカーボンに向けたキーテクノロジーの1つだ。しかし、電極触媒に高価な貴金属が使われており、製造コストの抑制のため、金属使用量を削減できる高活性化が求められている。
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