ミスミグループ本社は、機械部品調達に関するAIプラットフォーム「meviy」の新たなサービス「meviy Marketplace」の展開を発表した。meviyの顧客とパートナー企業を直接つなげ、あらゆる加工部品をワンストップかつ手間なく手配できるDXプラットフォームとして機能し、リードタイムの大幅な短縮に貢献する。
ミスミグループ本社(以下、ミスミ)は2024年9月24日、記者説明会を東京都内とオンラインでハイブリッド開催し、機械部品調達に関するAI(人工知能)プラットフォーム「meviy(メビ―)」の新たなサービス「meviy Marketplace」の展開について発表した。
meviy Marketplaceは「製造業の“あらゆる”を実現する」をコンセプトに掲げ、meviyで培ってきたグローバル約32万社の顧客と、それら顧客が求めるニーズに応えられるサプライヤー(meviyのパートナー企業)を直接つなげることが可能なデジタル基盤で、製造業に特化した集客、見積もり/受発注、決済までを一気通貫で行えるDX(デジタルトランスフォーメーション)プラットフォームとして位置付けている。顧客はmeviy Marketplaceを通じ、ミスミ基準で選ばれた製造パートナーから、あらゆる加工部品をワンストップかつ手間なく入手することが可能となる。
既存のmeviyユーザーへアンケート調査を実施したところ、3Dプリンティング、試作金型、架台など、これまでmeviyが提供してこなかった領域に対する顧客ニーズが多岐にわたるとともに、そうしたニーズが日々変化し続けていることが分かったという。「このような膨大で変化し続けるニーズに対し、“時間の創出”を重要視するわれわれとして、いかにスピード感をもって応えていけるか。そして、あらゆる顧客ニーズに100%対応する仕組みはどうあるべきかについて検討を続けてきた結果、到達したのがmeviy Marketplaceの構想だ」と同社 meviy推進本部 プラットフォーム事業統括 チーフディレクターの浅野智弘氏は説明する。
meviy Marketplaceの主な特長は3つある。1つ目は顧客の作りたいものに対応できる製造パートナーをAIが見つけ出す「AIマッチング」、2つ目は従来のミスミIDだけですぐに利用開始できる「即時/簡単」、3つ目はチャットツールによる一元管理で煩雑なやりとりから顧客を解放する「デジタル完結」だ。
利用者である顧客は、Webブラウザでmeviy Marketplaceにアクセスし、meviy同様に加工依頼したい部品の設計データをアップロードする。次に、製品要件として数量パターンの入力や依頼/指示に関するファイル添付などを行い、部品形状を3Dビュワーで確認し、依頼するサービス(切削、旋盤、板金、3Dプリント、射出成形、注型)を選び、必要な要件などを入力する。ここまで入力した後、製造パートナーの選択に進むと、入力した条件にマッチしたパートナーが見積もり依頼実績順で一覧表示される(見積もり回答が早い順での並び替えも可能だ)。ここで最大3件までパートナーを選択することができ、見積依頼を投げられる。見積書、製品要件書(個別契約書)や、途中のやりとり/相談事項などは全てデジタル化され、見積もり内容を比較しながら依頼先を選定し、正式な加工依頼まで進めることが可能だ(従来のミスミのWebサイトから注文が行える)。
「当社の調べによると、展示会やネットなどで自分たちがほしいものを作れる新しい製造パートナー(調達先)を探すとなると80時間を要する。そして、実際に調達先が見つかっても、今度は契約や社内申請、口座開設などの手続きで320時間もかかってしまう。さらに、その後の図面/仕様書の作成や、訪問、メール、Web商談でのやりとりに80時間かかる。meviy Marketplaceはトータル480時間かかっていたあらゆる手間を最大99%削減でき、調達までの顧客のリードタイムを大幅に短縮することが可能になる」(浅野氏)
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