ヤマハ発動機はロボティクス事業を成長事業に据えている。
2018年に策定した、2030年を見据えた長期ビジョンに「ART for Human Possibilities」というスローガンを掲げているが、このARTは「ロボティクスを活用し(Advancing Robotics)」「社会課題にヤマハらしく取り組み(Rethinking Solution)」「モビリティに変革をもたらす(Transforming Mobility)」の頭文字を取ったものだ。
セレモニーで代読されたヤマハ発動機 代表取締役社長の日高祥博氏(「高」は「はしごだか」)のあいさつでも「ロボティクスを活用し、社会課題にヤマハらしく取り組み、モビリティに変革をもたらすことで、人々の可能性を広げ、より良い生活と社会の実現を目指している。その中で、コア事業であるモーターサイクル事業、マリン事業などで安定したキャッシュを創出し、新規事業や成長事業に投資することで、さらなる規模の拡大を目指す。ロボティクス事業領域は成長事業として位置付け、人的にも物的にも投資して、より一層の成長を狙うフェーズになる。この事業所の増改築投資もその一環となる」としている。
ただ、足元の景況感は良くない。2024年上期のロボティクス事業の売上高は前年同期比から微減の459億円。
ヤマハ発動機 執行役員 ソリューション事業本部 ロボティクス事業部長の江頭綾子氏は「半導体後工程では半導体不足から一転して在庫過多となり難しい状況が続いている。ただ、生成AI(人工知能)向けにわれわれの装置が非常に需要があり、増産している。この状況は来期以降も期待できる。表面実装関連も巣ごもり需要が一段落して、スマートフォンやPCの需要が戻ってこない。われわれの最大市場の中国がなかなか上がってこない。国策で内需向けの需要は動いているが、想定していたよりも回復が遅い。ただ、インドは表面実装も半導体も活況だ。FAは、需要自体は高まっているが、その中で伸びているのは協働ロボットだ」と語る。
そのような状況下での増改築投資は、今後の成長を見越して行われる。
江頭氏は「自動化ニーズは非常に高まっている。この事業は装置ビジネスでもあり、製品の製造、開発にもそれなりの場所が必要だ。そういった先を見越しての増改築となる。この工場を有効に使いながら、伸びていく市場にしっかりマッチするような品質の良い製品を出していく」と語る。
内山氏も「SMTではさらなる省人化が求められている。フィーダーの入れ替えの自動化など、これまで人が手掛けていた作業を自動化する製品開発を進めていく。協働ロボットなど新製品の拡充もしていく」と述べる。
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