包装機械でのデータ活用加速へ、日本包装機械工業会がIoT標準化指針を定めた理由:FAインタビュー(2/2 ページ)
指針案をまとめる議論の中では、他の団体などが進める標準化の動きに追従することも、方向性としてはあったとはいうが「包装機械の置かれている特殊性や、さまざまな標準化の動きなどを考えると、一度独自でまとめ、他のさまざまな動きに合わせる拡張性を持たせる方がよいと考えた」(福井氏)としている。
具体的には「包装機械業界は個々のメーカーがバラバラに競争力を磨いてきた中で、機器の開発やデータに対する考え方や言葉も異なっている。その中で一気にがっちりした標準化を進めようとしても難しい。WGの中で現状認識から始めて、共通言語や共通認識などをできる部分から構築し、その中である程度、国際標準などとの整合性などを踏まえて、ある程度の形でまとめたのが現段階だ」と福井氏は現状認識について語っている。
「包装システムにおけるIoT標準化に関する指針(案)」は、カテゴリーフォーマットとして「ID」「カテゴリー名」「説明」「データタイプ」「データ有無」「推奨単位」「データ名」「データ名の定義」「優先度」が設定されており、それぞれのデータの意味や定義にブレがないようにまとめている。また、OMAC Packaging Working グループによって策定され、米国を中心とした包装機械制御に関する業界標準「PackML(Packaging Machine Language)」との連携を想定しているという。
包装システムにおける IoT 標準化に関する指針(案)のカテゴリーフォーマット[クリックで拡大] 出所:日本包装機械工業会
今後は、ユーザー企業などへのヒアリングを進めながらまずは2024年度中に最終版を公開する考えだ。福井氏は「指針を出すことが目的ではなく、使ってもらい、個々の企業がメリットを受けられるようにすることが最終目標だ。ヒアリングを進める中でブラッシュアップを進め、受け入れられる形でまとめたい」と語る。
さらに「文書だけでは伝わりにくいものもあるため、実機で価値を示すような形を作りたい」(福井氏)とし、2025年10月7〜10日に開催予定の「JAPAN PACK 2025 日本包装産業展」でデモを披露する考えを示した。
「包装システムにおけるIoT標準化に関する指針(案)」を策定した日本包装機械工業会 技術委員会 IoTワーキンググループのメンバー[クリックで拡大]
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