三菱電機は、次世代の光ファイバー通信速度となる800Gbps/1.6Tbpsに対応可能な受信用光デバイス「800Gbps/1.6Tbps 光ファイバー通信用200Gbps pin-PDチップ」を発表した。
三菱電機は2024年8月20日、東京都内とオンラインで会見を開き、次世代の光ファイバー通信速度となる800Gbps/1.6Tbpsに対応可能な受信用光デバイス「800Gbps/1.6Tbps 光ファイバー通信用200Gbps pin-PDチップ(以下、200Gbps pin-PDチップ)」を発表した。同年10月1日にサンプル提供を、2025年初から量産出荷を始める計画。生成AI(人工知能)向けをはじめデータセンター内通信の高速/大容量化の需要が本格化する2026年以降に向けて事業展開を拡大していく方針である。
今回発表した200Gbps pin-PDチップは、光ファイバーで送られる光信号を電気信号に変換する受光素子であるPD(フォトダイオード)だ。PDは、電気信号を光信号に変換する発光素子のLD(レーザーダイオード)と組み合わせて用いられる。
三菱電機は2023年3月に、800Gbps/1.6Tbpsに対応可能な200GbpsのLDとして「200Gbps(112Gbaud PAM4) EMLチップ(以下、200Gbps EMLチップ)」を既に発表しており、今後は今回発表の200Gbps pin-PDチップと組み合わせた提案により、光トランシーバーの通信容量拡大に貢献していきたい考えだ。
三菱電機はこれまで、高周波・光デバイス事業の下で主にFTTH(Fiber to the Home)や5G基地局に用いられる光ファイバー通信に対応する光デバイスを展開してきたが、直近の数年で需要が急速に拡大しているのがデータセンター市場だ。2015年度時点で売上高の58%がFTTH向けだったのに対し、2022年度にはデータセンター向けが57%を占めるようになっている。
同社 半導体・デバイス事業本部 半導体・デバイス第二事業部 事業部長の盛田淳氏は「データセンター内で生成AIの演算をやりとりする経路を構成する光トランシーバーには高速/大容量化が求められている。当社は、光トランシーバーの送信用光デバイスでは世界シェアトップの実績があり、次世代の通信速度である800Gbps/1.6Tbpsに対応可能な200Gbps EMLチップも既に採用されている。これに対して、800Gbps/1.6Tbpsに対応可能な性能を持つ受信用光デバイスが市場に少ないことが課題になっていた。今回、新たに開発した200Gbps pin-PDチップを市場投入し、受信用光デバイスで新規参入していくことを決めた」と語る。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.