「Japan Drone 2024」では、村田製作所と東海理化が、自動車のスマートキーに用いられている無線通信技術を用いてドローンの着陸を自動化するシステムの提案を行った。
「Japan Drone 2024」(2024年6月5〜7日、幕張メッセ)では、村田製作所と東海理化が、自動車のスマートキーに用いられている無線通信技術を用いてドローンの着陸を自動化するシステムの提案を行った。村田製作所は120k〜130kHzのLF(長波)帯、東海理化は8GHz前後の周波数帯を用いるUWB(Ultra-Wide Band)をそれぞれ用いていたものの、自動車業界での実績を基に提案している点で共通している。
村田製作所が展示したのは、自動車のスマートキーで豊富な採用実績のあるLF通信用アンテナを用いたドローンの自動着陸システムだ。
同システムでは、ドローンが着陸するドローンポートを囲んで正三角形の位置に送信アンテナを配置する。これは、自動車のスマートキーでは車両側の送信アンテナに相当する。ドローンには、自動車のスマートキーのキーフォブと同様に受信アンテナを搭載する。
自動着陸の仕組みは以下のようになっている。まず、飛行中のドローンは、ドローンポートの近傍に近づいたら最も近い送信アンテナを探索しその上に移動する。その後、残り2本の送信アンテナの位置を検知した上で3点測距を行って、ドローンポートの着陸位置に移動し、そのまま高度を下げて着陸するという流れだ。なお、自動車のスマートキーは、キーフォブから車両の鍵を開けるための制御信号を送信するためにUHF通信が行えるようになっているが、ドローンの自動着陸システムではUHF通信は不要だ。
着陸位置の精度は±10cmで、ドローンポートへの組み込みが想定されるワイヤレス給電システムとの位置合わせにも十分対応できる範囲に収められる。展示では、小型のトイドローンを用いた自動着陸のデモを披露した。「自動車のスマートキーで実績のあるLF帯は無線通信の安定性が高い。さらに、自動車のスマートキー向けに量産しているので低コストで導入できることもメリットになるだろう」(村田製作所の説明員)。
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