一般労働者に比べて、パートタイム労働者の時給がこれだけ低いというのは、果たして世界でも一般的なことなのでしょうか? OECDが公開している興味深いデータがあったのでご紹介します。
図2はフルタイム労働者に対するパートタイム労働者の時給比率を国際比較したものです。2003年と少し古いデータですが、各国の違いが良く分かるのではないでしょうか。
スイスやイタリア、フィンランド、オランダなどは時給比率が90%を超えていて、パートタイム労働者はフルタイム労働者とほとんど変わらない時給水準だということが分かりますね。特にスイスやオランダはパートタイム労働者の多い国として知られています。
フランスで80%程度、ドイツ、カナダ、英国で70%前後です。しかし、日本だけ50%未満と極端に低い水準です。
日本では「パートタイム=時給の低い仕事」と見なされる向きが強くありますが、統計データを見る限り、実態をある程度反映した認識ではあるようです。ですが、他国では必ずしもそうではないと言えそうですね。
「同一労働同一賃金」といわれて久しいですが、少なくとも時給水準としては一般労働者とパートタイム労働者の格差をもっと縮めていく余地がありそうです。
せっかくですので、総実労働時間の推移についても眺めてみましょう。昨今では労働時間を短縮しようという機運が高まっているようですが、実態としてはどうでしょうか?
図3は就業形態別の総実労働時間です。年間の労働時間を平均した、1カ月当たりの平均労働時間となります。就業形態計で見ると年々労働時間が短くなる形で推移しています。1997年で157.6時間だったのが、2023年では136.3時間と月に20時間以上短くなっていますね。
一般労働者(青線)に着目すると、1997年で168.8時間でしたが、横ばい傾向が続き2023年では163.5時間と確かに短くなってはいます。それほど大きな変化とはいえません。
むしろ、一般労働者よりもパートタイム労働者の方が平均労働時間が短くなっている傾向にあります。いずれにしろ、一般労働者は人数も、労働時間も賃金も停滞しているというのが特徴的ですね。パートタイム労働者が増えたことで、労働者全体の賃金や労働時間の平均値を押し下げているといえそうです。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.