合体!変身!そして変形!? 新開発モビリティ「Raptor」が乗り物の概念を変えるロボット開発ニュース(1/2 ページ)

千葉工業大学 未来ロボット技術研究センターとRDS、両者の連携を通じて設立されたROIDZ TECHは、新開発のプラットフォーム型モビリティ「Raptor(ラプター)」を発表した。

» 2024年04月04日 07時00分 公開
[朴尚洙MONOist]

 千葉工業大学 未来ロボット技術研究センター(fuRo)と研究開発型企業のRDS、両者の連携を通じて設立されたROIDZ TECHは2024年4月3日、東京都内で会見を開き、新開発のプラットフォーム型モビリティ「Raptor(ラプター)」を発表した。最大の特徴は、前2輪/後1輪の3輪構造に走る機能を集約した下部パーツの「ベースユニット」をプラットフォームとして、さまざまなデザインや用途、機能に合わせて自在に設計可能な上部パーツの「デザインユニット」を組み合わせることで、自動配送ロボットなどを含めて乗用にとどまらないさまざまなモビリティを実現できることだ。現在は市販に向けた開発を進めており、早ければROIDZ TECHから2024年内にも発売したい考え。当初の販売価格は高級バイクと同程度を想定しているものの、普及を進めるため低コスト化も検討していく。既に複数のデザイナーや企業との連携も進んでおり、発売から3年以内に100台の販売を目標に掲げる。

「Raptor」が走行する様子。前2輪/後1輪のリーン構造により、二輪車のように傾斜して旋回できる[クリックで再生]
「Raptor」のデザインユニットとベースユニットを組み合わせた車両の外観 「Raptor」のデザインユニットとベースユニットを組み合わせた車両の外観[クリックで拡大]
「Raptor」のサイドビュー「Raptor」のリアクオータービュー 「Raptor」のサイドビュー(左)とリアクオータービュー(右)[クリックで拡大]

 Raptorのモビリティとしての「走る機能」はベースユニットに集約されており、プラットフォーム型モビリティとしての“プラットフォーム”の役割を担う心臓部になっている。前2輪/後1輪の3輪構造で、後輪に組み込んだモーターをベースユニット内のバッテリーで駆動する電動車両となる。

「Raptor」のベースユニット 「Raptor」のベースユニット[クリックで拡大]

 高い操縦性を持たせるために組み込んだのが、二輪車のように傾斜して旋回できるリーン構造で、3輪接地した状態で高速域でのコーナリングやスラロームターンなども行える。スイングアームを介して前2輪と後1輪をフレームに接続する全輪独立懸架リーンサスペンションによりメインフレームの小型化が可能になった。この小型化したメインフレーム内に、バッテリー、ドライバ、操舵(そうだ)軸、可変式差動リーンダンパー、3輪全てへの制動が可能な油圧ブレーキコンバーターなどの必要機能が収められている。

リーン構造によって傾斜した状態 リーン構造によって傾斜した状態。「Raptor」の隣にいるのはデザイナーの小西哲哉氏[クリックで拡大]

 リーン構造で重要な役割を果たす可変式差動リーンダンパーは、リーンの角度や抵抗力、スピードを一定の範囲内で調整することができる。これによって、車両の旋回挙動をユーザーの好みに合わせ込むことも可能だ。リーン角度は0〜30度で調整可能とする。

 ベースユニットと上部パーツであるデザインユニットとの連結は、レバー操作のみで分離/固定を行えるようになっている。ベースユニットを制御する操縦機能はデザインユニット側に搭載されるが、ステアリングやブレーキといった動作伝達の機構も、レバー操作で固定する際に容易に接続できるようになっている。なお、会見で披露した車両では、電装系をつなぐカプラはレバー操作と別途で接続する必要があったものの、市販モデルではカプラ接続も同時に行えるようにする方針だ。

ベースユニットの連結部 ベースユニットの連結部。中央部分がステアリング、その外側にある2つの円形部がブレーキの動作伝達機構になる[クリックで拡大]

 会見で披露したデザインユニットとベースユニットを組み合わせた車両の外形寸法は、全長1190×全幅510×全高880mmで、ホイールベースは850mm。ベースユニットのみの外形寸法は全長1150×全幅510×全高440mm。重量は、デザインユニット+ベースユニットで54kg、ベースユニットで38.3kg、デザインユニットで15.7kg。

 走行速度は時速0〜40km、巡航速度は時速30kmだが用途に合わせてソフトウェアで制限することが可能だ。満充電からの走行距離は40km、バッテリー電圧は48V、満充電までの充電時間は7時間となっている。

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