フローで考えるモデリング 〜さまざまな現象を統一的に扱う方法〜1Dモデリングの勘所(28)(2/4 ページ)

» 2024年02月20日 09時00分 公開

現象をフローで考える:流れおよび熱の場合

 連載第5回でも述べたように、電気、流れ、熱に関する変数および要素に関しては、表1に示す関係が成り立つ。

電気、流れ、熱の状態量、要素の関係 表1 電気、流れ、熱の状態量、要素の関係[クリックで拡大]

 つまり、流れおよび熱に関する現象に関しては、表1の対応に従って、電気の場合(図1)と同様の手順を踏み、フローに基づいて図で表現した後に、そこから式を定義すればよい。

 流れの場合には、次式が成り立つ(この式の導出については以降の連載の中で説明する)。

式8 式8

 ρ,l,Aは、流れ部分のそれぞれの密度、長さ、断面積、Rは流路抵抗、V,Kは容積部分の体積と体積弾性率、qは流量、pは圧力である。表1から、流れの場合は流量がフローであり、流れに関する現象のある部分をフローに即して図で表現すると、図2となる。

フローで考える:流れの場合 図2 フローで考える:流れの場合[クリックで拡大]

 図2を式で表現すると、流量の連続の条件(電流則)から、

式9 式9

となり、各要素の流量(フロー)と圧力(ポテンシャル)の関係(電圧則)から、

式10 式10

が成り立つ。

 同様に、熱の場合は次式が成り立つ。

式11 式11

 Gは熱コンダクタンス、Cは熱容量、Qは熱量、Tは温度である。表1を見て分かるように、熱に関してインダクティブ要素は存在しない(あるいは、確認されていない)。表1から、熱の場合は熱量がフローであり、熱に関する現象のある部分をフローに即して図で表現すると、図3となる。

フローで考える:熱の場合 図3 フローで考える:熱の場合[クリックで拡大]

 図3を式で表現すると、熱量の連続の条件(電流則)から、

式12 式12

となり、各要素の熱量(フロー)と温度(ポテンシャル)の関係(電圧則)から、

式13 式13

が成り立つ。

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