AGCは2023年12月期通期(1〜12月)決算と2024年12月期通期業績の見通しを発表した。2023年通期の売上高は前年同期比0.8%減の2兆193億円で、営業利益は同29.6%減の1288億円となった。塩化ビニールの販売価格の下落やライフサイエンスセグメントの受託売上減少、製造原価の悪化などで減収減益を記録した。
AGCは2024年2月7日、オンラインで記者会見を開き、2023年12月期通期(1〜12月)決算と2024年12月期通期業績の見通しを発表した。
2023年通期の売上高は前年比0.8%減の2兆193億円で、営業利益は同29.6%減の1288億円となった。売上高は、自動車用ガラスなどの売り上げ増加と為替による増収影響があったものの、塩化ビニールの販売価格の下落やライフサイエンスセグメントの受託売り上げ減少などにより前年比で減少となった。
営業利益は、原燃材料の価格下落によりコストダウンを図れたが、上述の減収要因に加え製造原価の悪化などの影響から前年比で減益だった。
セグメント別では、建築ガラスセグメントの売上高は同1.5%減の4763億円で、営業利益は同0.3%増の328億円となった。欧米では、天然ガス価格が下落するも製造原価が悪化したことに加え、景気減速の影響を受けた欧州で出荷が減少し、販売価格が下落した結果、前年に比べ減収だった。アジアは、日本を除く地域で出荷が減少したが、販売価格の上昇により前年に比べ増収となった。
オートモーティブセグメントの売上高は同19.6%増の4997億円で、営業利益は同322.4%増の218億円だった。グローバルで自動車生産台数が増加したことで、自動車用ガラスの出荷も増加した他、販売価格の上昇や品種構成の改善、為替の影響もあり増収増益を記録した。
電子セグメントの売上高は同1.9%増の3132億円で、営業利益は同25.1%増の184億円となった。ディスプレイ事業では、液晶用ガラス基板の出荷が増加したことなどから、前年に比べ増収となった。電子部材事業は、スマートフォン市場減速の影響によりオプトエレクトロニクス用部材の出荷は減少したものの、EUV露光用フォトマスクブランクスなどの半導体関連製品の出荷が増加した他、為替の影響により、前年に比べ増収だった。
同社 代表取締役 兼 副社長執行役員 CFO/CCOの宮地伸二氏は「従来の収益改善策に加えて、スピード感を持ち構造改革を確実に遂行するために私をトップとするディスプレイ事業構造改革プロジェクトを発足した。このプロジェクトにより、2024年度を初年度とする新中期経営計画期間中にディスプレイ事業で使用資本利益率(ROCE)10%の達成を目指す」と述べた。
化学品セグメントの売上高は同13%減の5741億円で、営業利益は同48.6%減の648億円となった。エッセンシャルケミカルズ事業では、塩化ビニール樹脂などの販売価格が下落したことから、前年に比べ減収した。パフォーマンスケミカルズ事業では、フッ素関連製品の出荷は減少したが、販売価格の上昇や為替の影響により売上高は前年並みとなった。
ライフサイエンスセグメントの売上高は同10%減の1268億円で、営業利益は124億円の減益だった。為替により増収影響があったものの、新型コロナウイルス関連製品の特需消失、バイオベンチャーへの資金流入減や、米国での新規ラインの立ち上げ遅延と設備改善のための稼働調整などによりバイオ医薬品の受託売上が減少したため、減収となった。営業利益は前述の減収要因に加え、バイオ医薬品分野における能力増強に伴う先行費用の発生で減益を記録した。
宮地氏は「当社のバイオ医薬品受託製造(CDMO)の事業環境は回復傾向にあるものの、2024年は緩やかな回復にとどまり、2025年に本格回復する見通しだ。米国の新規ラインは商用運転を本格的に再開し、2024年から収益改善に貢献する」と話す。
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