Skydioが新型ドローン「Skydio X10」を披露。NVIDIAの最新の組み込みAIチップ「Jetson Orin SoC」を搭載することでエッジAIの処理性能を10倍以上に高めて障害物検知機能を強化した他、オプション追加で機能拡張する構成によりベースとなる標準機体の価格上昇を抑えた。
Skydioは2023年12月13日、東京都内で会見を開き、新型ドローン「Skydio X10」を披露した。NVIDIAの最新の組み込みAI(人工知能)チップ「Jetson Orin SoC」を搭載することでエッジAIの処理性能を従来比で10倍以上に高めて障害物検知機能を強化した他、オプション追加で機能拡張する構成によりベースとなる標準機体の価格上昇を抑えた。米国では同年9月に発表した後、11月下旬に出荷を始めており、日本では2024年3月末をめどに出荷を開始すべく準備を進めている。
Skydio X10の外形寸法は約79×65×14.5cmで、バッテリー込みの重量は2.11kg。搬送時などのために折り畳むことが可能で、外形寸法は約35×16.5×12cm(バッテリーなし)となる。
制御のための無線通信は2.4G/5GHzのWi-Fiもしくはセルラー通信のどちらかから選択する。セルラー通信時の無線通信の接続範囲は12km。最高飛行速度は72kmで、毎秒12mの風速下でも飛行が可能だ。防水/防塵(じん)性能でもIP55に対応しており、激しい風雨に耐えるとともに、粉じんの中でも問題なく飛行できる。動作温度範囲も−20〜45℃と幅広い。最高飛行可能時間は40分となっている。
Skydioの現行製品である「Skydio 2+」と「Skydio X2」は、制御システムのメインプロセッサにNVIDIAの「Tegra X2」を採用していた。これに対してSkydio X10は、製造プロセスやGPUアーキテクチャが大幅に進化したJetson Orin SoCを搭載している。これにより、Skydio製ドローンの最大の特徴であるVisual SLAM(Simultaneous Localization and Mapping)による自律飛行に必要な障害物認識性能を大幅に向上した。エッジAIの処理性能で見ても、Skydio X10はSkydio X2の10倍以上になっているという。
また、主な用途である建築/建設や社会インフラの点検作業、警察や消防による初動対応をはじめさまざまな用途に対応できるように2種類のメインカメラを用意した。「VT300-Z」は128倍ズームで256m先の長距離の撮影にも対応する望遠カメラを、「VT300-L」はフラッシュライトとセンサーサイズ1インチで視野角93度のワイドカメラをそれぞれ搭載しており、両カメラとも6400万画素のカメラと640×512画素の赤外線サーモグラフィーを備えている。
Skydio X10は、オプションでさまざまなアタッチメントを上面と下面、左右の側面に装着できる構成となっており用途に合わせてカスタマイズできる。現時点では、スポットライトやスピーカー、ナイトセンス、パラシュート、GPSを強化するRTKなどをラインアップしている。特に、ナイトセンスを装着すると、大幅に高めたエッジAI処理性能と相まって、これまでは実現できなかった暗闇の中での自律飛行も可能になるという。
Skydio日本法人 日本代表の柿島英和氏は「Skydioのドローンはグローバルで4万台以上、日本国内でも1000台以上の出荷実績がある。新製品のSkydio X10の価格は、小型で取り回しが良く日本国内でも広く利用されているSkydio 2+と、高度な機能を搭載するSkydio X2の中間に位置する。エッジAI処理性能が10倍以上になり飛行時間も40分に伸びるなど、Skydio X10はSkydio 2+やSkydio X2と比べて大幅な性能向上を実現しているが、オプションでカスタマイズを行うという構成によりSkydio X2より入手しやすい価格に設定する方針だ。このSkydio X10の投入により、さらに日本国内市場での出荷台数を伸ばしていきたい」と述べている。
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