ゲームエンジン「Unity」を活用したロボットシステムのデジタルツインの体験コーナーも設ける。
「工場全体のデジタルツインを考えた時に、ロボットメーカーが単体でできることはわずかしかない。それならば、われわれはロボットのエンジン部分だけを作り、デジタルツインとしては世の中に普及しているものを利用した方がいい。オープンプラットフォームで一番利用されているのはゲームの世界だ。その中で、Unityでは豊富なアセットを活用できる」(澤田氏)
会場では実際の生産ラインをデジタルツインに再現し、実際の生産ラインのセンサー情報などをデジタルツイン上で確認できるデモも紹介する。俯瞰(ふかん)的に見ると生産ライン全体の情報が、ロボットに近づけばロボットの情報を見ることができる構想だ。「こういった取り組みもゲームエンジンだとやりやすい」(澤田氏)。
川崎重工業のロボットデジタルプラットフォーム「RoboCross」にも参画する。RoboCrossはロボットシステムのインテグレーション効率化や、データ活用による新たな価値創造を目的とするプラットフォームだ。
会場では、デンソーウェーブはじめRoboCrossに参画する各社のロボットの電流値や速度などをディスプレイで表示する他、クラウド上で立ち上げた各社のオフラインプログラミングソフトを、RoboCross Gatewayを通じてリアルのロボットコントローラーにつなげ、クラウド上でプログラム編集からシミュレーション、ロボットコントローラーのリアルタイム情報が取得できる様子をディスプレイで表示する。
RoboCrossに参画する狙いについて澤田氏は「例えば各社がロボットシミュレーターを出しているが、システムインテグレーターにとっては、目的は同じなのにメーカーによって異なるソフトウェアがあることになる。そういったものをシステムインテグレーターは現場によって何十種と使い分けてロボットシステムを構築しており、それがシステムインテグレーション費用が下がらない理由の1つになっている。それならば、ロボットメーカーとして同じ方向を向いている川崎重工業が立ち上げたプラットフォームに入り、共有できるものは共有した方がいい」と語る。
TwinCATのゾーンでは音声によるロボット制御の他、全部で7つのアプリケーションを披露する。
ベッコフオートメーションのリニア搬送システム「XTS」や「X Planar」を活用したリアルタイム同期制御のデモンストレーションは、ともに“止まらない”がコンセプトになっている。
ロボットは減速する回数が多いほどサイクルタイムが長くなる。減速した分だけでなく、再び加速するまでにも時間を要するからだ。ロボットや可動子が止まる必要がなければ、生産性は一層向上する。
「高速高精度に動いている可動子を、ロボットの前で止めて作業することほどもったいないことはない。それならTwinCAT上で1msで同期させてしまえば、動いている可動子にロボットが追従することができる」(澤田氏)
その他、TwinCATゾーンでは、電子カムを活用してロボットの手先の速さとケーブル送りを同期させた配策作業の自動化や、機械学習を活用した準整列ワークのピッキングなどを紹介する。
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