Automotive Grade Linux(AGL)は、「EdgeTech+ 2023」において、コンテナ技術を用いてカーナビゲーションとメータークラスタのアプリケーションを1個のSoCとLinuxカーネル上で動作させるデジタルコックピットのデモンストレーションを披露した。
Automotive Grade Linux(AGL)は、「EdgeTech+ 2023」(2023年11月15〜17日、パシフィコ横浜)において、コンテナ技術を用いてカーナビゲーションとメータークラスタのアプリケーションを1個のSoCとLinuxカーネル上で動作させるデジタルコックピットのデモンストレーションを披露した。
AGLは、Linux Foundationの傘下でLinuxベースの車載情報機器関連のソフトウェア開発を進めているオープンソースプロジェクトである。今回のデモ展示を行ったのは、AGLでメータークラスタの共通プラットフォームを開発しているInstrument Cluster Expert Groupだ。
展示したシステムは、ルネサス エレクトロニクスの車載SoC「R-Car H3」の評価ボード上にLinuxカーネルとコンテナホストとなるLXC(Linux Containers)を組み込んでおり、LXCによってカーナビゲーションとメータークラスタのコンテナを分離し、それぞれ独立に制御できるようになっている。各コンテナは、AGLで開発したそれぞれの機能専用のランタイムがミドルウェアとなって、より上位のアプリケーション層を制御している。
AGLの説明員は「カーナビゲーションなどの車載情報機器(IVI)の機能とメータークラスタの機能を統合したデジタルコックピットでは、ハイパーバイザーとリアルタイムOSを組み合わせて実現しているシステムが提案されている。今回展示したデモの構成はそれらよりもシンプルな構成であり、より低コストを実現可能だ」と語る。
展示では、カーナビゲーションのアプリケーションについて、トヨタ自動車が開発に用いているFlutterベースのものと、GUIアプリケーション開発で広く利用されているQtベースのものを動的に入れ替えるデモを披露した。入れ替えに掛かる時間は10数秒程度だった。
なお、メータークラスタは自動車向け機能安全規格であるISO 26262で高い安全要求レベル(ASIL)が求められるが「今回のデモはASILが不要ではあるもののソフトウェアの品質を担保するQM(Quality Management)でどこまでやれるかを示すことを目的に開発した」(同説明員)としている。
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