ミッション2のランダーは、推進モジュールの組み立てをドイツのアリアングループの拠点で行った上で、2023年9月からフライトモデルの組み立てを筑波の施設で行っている。2024年の春頃をめどに組み立てを完了し、その後打ち上げ前の最終的な環境試験を実施する予定だ。
ミッション2のランダーのハードウェア設計はミッション1と同じだが、2023年5月にはミッション1における月面着陸失敗の原因分析を発表するとともにミッション2以降へ向けた改良点を特定している。ミッション2のランダーでは、ソフトウェアの改良や着陸シミュレーション範囲の拡大、着陸系センサーのフィールド試験の追加実施などが反映され、ミッションの精度を一層向上させるとしている。
ランダーは30kgのペイロードがあり、マイクロローバーと合わせて5個のペイロードを輸送する予定である。
HAKUTO-Rのコーポレートパートナーである高砂熱学工業のペイロードは、既に水の存在が確認されている月面において将来的な月面資源利用と生産を視野に入れた月面用水電解装置である。
台湾の国立中央大学宇宙科学工学科のペイロードである、同学科が開発した深宇宙放射線プローブは、宇宙環境と電子機器や生物への影響に関する将来的な研究を目的として深宇宙における放射能測定を行う。なお、台湾内で開発した機器を月面に送るのは初の事例になるという。
ユーグレナのペイロードは、月面環境での食料生産実験を目指した藻類培養観測機能を搭載した自己完結型のモジュールである。将来的な宇宙での食料生産に向けた月面環境実験を行う。
新たにHAKUTO-R新サポーティングカンパニーに加わったバンダイナムコ研究所は、アニメ「ガンダムオープンイノベーション(GOI)」のプロジェクトの一環として、アニメ「機動戦士ガンダムUC」に登場する「宇宙世紀憲章」のデザインをモチーフに「未来へのメッセージ」を刻した特殊合金プレート「GOI宇宙世紀憲章プレート」を月面に輸送する計画である。同プレートは幅14cmの六角形で、重量は17g。放射線が降り注ぐ月面の劣悪な環境下でも数十年〜100年といった長期間劣化しないことを目指し、アルミ添加型ハイマンガンスチールを素材に用いる予定だ。
なお、同プレートに刻むメッセージはキャンペーンWebサイトで募集している。応募期間は2023年11月18日23時59分までで、メッセージ文字数は50字以内となっている。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.