パナソニック インダストリーは2023年6月14日、代表取締役 社長執行役員 CEOの坂本真治氏への合同取材に応じた。坂本氏はリーマンショック以来の厳しい市況という見方を示しながら、今後の成長に向けた取り組み、考えを語った。
パナソニック インダストリーは2023年6月14日、代表取締役 社長執行役員 CEOの坂本真治氏への合同取材に応じた。坂本氏はリーマンショック以来の厳しい市況という見方を示しながら、今後の成長に向けた取り組み、考えを語った。
パナソニック インダストリーは電子部品や電子材料、制御機器などを幅広く扱い、デバイス業界のトップ企業を目指して2030年度に売上高1兆8000億円、営業利益率15%以上という経営目標を掲げている。
その中で、業界の平均を上回る水準で成長する車載CASE、情報通信インフラ、工場省人化の3つの重点事業領域と、リレー、コンデンサー、電子材料、FAソリューションの4つのコア事業を定めている。2022年度の売上高は9605億円、調整後営業利益率は6.1%だった。
坂本氏は現在の状況について「リーマンショック以来の厳しい市況」と見る。その根底にあるのは、約4年周期で好不況を繰り返すというシリコンサイクルと、コロナ禍で需要を先取りしたIT部門とする。
「車載に関しては安定期に入るだろうが、一番厳しいのは車載と同じくらいの規模を持つスマートフォンが大きな後退期に入っていること。スマートフォンは、そこに使われる部品という見方だけでは収まらないくらい裾野が広い。FAに対しても大きなインパクトがある。私の見立てとしては鍋底(景気)であり、2023年下期には対前年比割れは収まるのではないかと思っている。ただし、回復の力は弱い」(坂本)。
コア事業を巡っては、EV(電気自動車)の普及なども見越して、EVリレーの統合モジュール化や主要部材の内製化を加速している。2022年度の内製化率2割から、2024年までに7割まで高める計画だ。具体的な部材については明言を避けたが、金属部品についてはかなり内製化が進んでおり、「苦労しながら」(坂本氏)も計画通りに進んでいるという。
「EVになると耐電圧が高いリレーが求められ、水素ガスの封入封止など幾つか特許を保有しながら展開している。組み立て系製品の競争力を高めるには特許をしっかり押さえることと、内製比率を高めることの両輪が必要だ」(坂本氏)
機能性ポリマーの特性を持ちながら電解液を使用して自己修復機能を備えた車載向けのアルミハイブリッドコンデンサーもこれまでデバイスソリューション事業部 山口(山口県山口市)で生産してきたが、生産能力が限界に近づいており、増産に向けた生産拠点としてマレーシアを予定している。これに伴い、マレーシアで生産していたスイッチなどは日本国内などに集約を図る。
「5年後くらいにはアルミハイブリッドコンデンサーだけで数百億円規模の売り上げが見込まれている。マレーシアではこれまで主に表面実装形のアルミ電解コンデンサーを生産してきたが、今後はアルミハイブリッドコンデンサーになる。ASEANの立地の良さを生かしながら、日本とASEANの両方で生産を進めていきたい」(坂本氏)
ビジネスモデルの変換も模索する。現在のハード主体からソリューション提供を主とする事業への転換だ。坂本氏は「そのための出口として一番近くにあるのがFAだと思っている」と語る。
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