NVIDIAは、AMR(自律搬送ロボット)の開発に対応する「NVIDIA Isaac AMR」と、AOI(自動光学検査)向けのビジョンAIの開発を容易にする「NVIDIA Metropolis for Factories」を発表した。
NVIDIAは2023年5月29日、工場や物流倉庫などで用いられるAMR(自律搬送ロボット)の開発について、ハードウェアから制御ソフトウェア、シミュレーション環境に至るまでフルスタックでカバーするソリューション「NVIDIA Isaac AMR」を開発したと発表した。2023年7月から早期ユーザーでの利用が始まる予定だ。
NVIDIA Isaac AMRは、同社のロボット開発プラットフォーム「NVIDIA Isaac」を用いたAMRやAGV(無人搬送車)の開発を短期間で完了させられるソリューションだ。従来のNVIDIA Isaacと異なるのは、LiDAR(Light Detection and Ranging、ライダー)やカメラセンサーと連携した自律制御ソフトウェアや、これらのセンサーを使って工場内や倉庫内の3D地図データをマッピングするサービス、AI(人工知能)ベースの認識機能に当たる「AMR GEMs」などをフルスタックで提供する点だ。
これらの制御ソフトウェアや作成した3D地図データの試験や評価は、デジタルツイン環境を構築できる「NVIDIA Omniverse」に基づいたシミュレーション環境で確認することができる。実機に用いるハードウェアとしては、最新の組み込み機器向けAIモジュールである「Jetson AGX Orin」やセンサースイートをパッケージした「Isaac NOVA Orin」を利用できる。
NVIDIAは工場向けのソリューションを拡充している。今回発表したNVIDIA Isaac AMRの基盤となるNVIDIA Isaac、NVIDIA Omniverseの他にも、ビジョンAIプラットフォームの「NVIDIA Metropolis」が製造ラインのAOI(自動光学検査)向けで活用されている。
工場のAOIにおけるNVIDIA Metropolisの活用拡大に対応するため、専用ソリューションとなる「NVIDIA Metropolis for Factories」の投入を決めた。AIアルゴリズムの学習をデジタルツイン環境であるNVIDIA Omniverseによって効率的に行うとともに、Webシステムの開発などでは一般的なコンテナなどを活用するクラウドネイティブによってビジョンAIの導入やアルゴリズムの更新などが容易に行えるようになるという。
NVIDIA Metropolis for Factoriesのパートナーには、日立製作所、オムロン、サキコーポレーション、タカノといった国内の大手検査機メーカーも名を連ねている。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.