FETによる電圧制御は、デバイスの入力インピーダンスが高いという特徴があります。ここで言うインピーダンスとはデバイスの入力抵抗のことです。バイポーラトランジスタならベースとグランド間、FETであればゲートとグランド間の抵抗ということになります。入力インピーダンスが高ければ、回路構成などについてそれほど気にしないでデバイスを接続できます。
「それほど」などとあいまいな表現を使ってしまいましたが、まずは入力信号の電圧低下が少なくて済むというメリットがあります。また、入力インピーダンスの高い入力デバイスでもじかに接続できます。例えば、インピーダンスの高いクリスタルマイクはバイポーラトランジスタにとって不得意なデバイスです。入力回路を構成するのにいろいろと苦労します。それに対してFETであれば能動回路なしで接続できます。そして、入力デバイスに対しても影響を与えることがありません。
筆者の経験でいうと本連載第3回「RS-232Cを使ってWindowsのコマンドプロンプトから電磁弁を直接動作させる」は、RS-232Cの出力をパワーMOSFETのソースに入力して最終負荷の電磁弁を駆動するというものでした。最初はバイポーラトランジスタで実験したのですがうまくいかず、FETに替えてうまくいったという経験があります。これはバイポーラトランジスタではベースとグランド間のインピーダンスが低いためRS-232Cの出力に電圧降下が生じてしきい値電圧まで到達しなかったからだと思われます。
PWMはPulse Width Modulationの略で日本語ではパルス幅変調と呼ばれています。PWMは0か1の値をとるパルスのことです。0と1あるいは1と0の単位を1サイクルといいます。この1サイクルの時間に対して、1になっている時間の比をデューティ比といいます。このデューティ比を変化させて負荷への供給電力を調整します。
もしPWMのサイクルが100μsだとしても、最終的にドライブする負荷の反応時間はもっと遅い場合が多く何サイクル分かのデューティ比の平均が負荷に供給される実行電力となります。最終的な負荷の反応速度によってはPWMのデューティ比の変化が逐一伝わるわけではありません。そこには何らかの遅延が生じます。
シャーペンの芯(図2)は鉛筆の芯と同様、黒鉛と粘土を焼き固めたものです。シャーペンの芯は、HBやBに代表される硬さ/書き文字の濃さを表す規格があり、それぞれ黒鉛と粘土の混合の割合が異なるので抵抗値も変わります。例えば、HBに比べてBの方が濃く書けますが、それは黒鉛の割合が多いからです。この黒鉛が導電物質なので、シャー芯の抵抗値はHBに比べBの方が低くなります。
今回は、このシャーペンの芯の両端に電圧を掛けて灯をともすという実験です。1本のシャー芯で何度もできる実験ではなく最後は燃え尽きてしまうので注意が必要です。
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