世界最大級の産業見本市「HANNOVER MESSE(ハノーバーメッセ)」において、Bosch Rexrothによる産業ロボット用の6-DOF計測ユニット搭載エンドエフェクターが、産業用技術の賞「HERMES AWARD 2023」を受賞した。
世界最大級の産業見本市「HANNOVER MESSE(ハノーバーメッセ)」(2023年4月17〜21日)において、Bosch Rexrothによる産業ロボット用の6自由度(6-DOF)計測ユニット搭載エンドエフェクター「Smart Flex Effector」が、産業用技術賞「HERMES AWARD(ヘルメスアワード)2023」を受賞した。
ハノーバーメッセが開催する「HERMES AWARD」は、毎年ハノーバーメッセの開会式で発表される技術賞だ。ハノーバーメッセは、同賞を「産業界のオスカーだ」と表現している。同見本市に出展する全企業/団体が応募可能で、特に高度な技術革新を示す優れた製品および革新的なソリューションが選出される。Bosch Rexrothが同賞を受賞したのは今回で3回目だという。
今回受賞したSmart Flex Effectorは、産業用ロボットのアームとグリッパーの間に搭載するエンドエフェクターで、6自由度を持つ柔軟な機構(XY:±3.0mm、Z:−3.0mm、補正角度はXY:±3.4度、Z:±6.8度)と、位置センサーおよびマイクロコントローラーを搭載。柔軟な機構によって繊細に対象物に接触しつつ、ポイント座標からの位置ずれを正確に検出し、リアルタイムに自動補正する。これによって、例えば冷蔵庫へのガラス板の挿入や、ピンを曲げることなくプリント基板を筐体に組み込む作業など、強度の低い素材を扱う場合や、許容誤差の小さい複雑な工程での作業を自動化できるという。説明担当者は、「ロボットに人間の手と同様の触覚を与え、これまで手動でしか行えなかったようなプロセスの自動化を可能にする」と説明していた。
会場では、実際にプリント基板(PCB)を筐体に取り付ける作業のデモを実演。ロボットのグリッパーがPCBに触れた際、微妙な位置ずれを6自由度で検出/補正してPCBを持ち上げ、筐体の上に移動。筐体に配置する際には、まず手前のピンだけをPCBの穴に通したうえで、その接触の状況からずれを検出/調整し残りの穴にピンを通す様子が紹介されていた。説明担当者は、「『たわみ』を持たせることで、ロボット全体が部品に正確にドライブする必要が無くなる。繰り返し実行するために、再ティーチングや介入をする必要もなく、部品にダメージを与えることもない。Smart Flex Effectorは、いわば車の『クラッシャブルゾーン』のような働きをするのだ」と語っていた。
Smart Flex Effectorは既存の産業ロボットへの後付けも容易といい、「低コストでファクトリーオートメーションの分野を拡大できる」としている。対応する対象物の重量は最大6kg。既に量産中だ。
Bosch Rexrothはこのほか、今回のハノーバーメッセにおいて、掘削機、ホイールローダー、トラクターなど向けの電動化プラットフォーム「eLION」や、ドイツ・マグデブルクで2023年中に稼働開始する予定の完全自動バッテリーリサイクル工場で用いられる同社の技術など、脱炭素/環境保護に対する同社の製品/ソリューションの展示を中心に紹介していた。なお、同工場では、電気自動車のリチウムイオン電池8個を15分程度で自動で放電することが可能だという。
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