帝人は、同社が開発した繊維状炭素とパラ系アラミド繊維を独自の紙すき技術で組み合わせることにより業界最薄クラスのガス拡散層を開発した。市場が拡大する燃料電池の小型化、高性能化に貢献する。
帝人は2023年3月13日、同社が開発した繊維状炭素「PotenCia(ポテンシア)」とパラ系アラミド繊維「トワロン」を独自の紙すき技術で組み合わせることで、業界最薄クラスの厚さ50μmのガス拡散層(GDL)を開発したと発表した。大幅な薄型化により、燃料電池の小型化や高性能化、低価格化のニーズに応える。
GDLは、水素と酸素の供給、電極の化学反応で生じた電子の集電や生成水の排水などを担う、燃料電池の内部に使用される部材だ。ポテンシアとトワロンを少ない製造工程で組み合わせ、厚さ50μmの微多孔構造のGDLを開発した。これは、一般的なGDLの約半分以下の薄さとなる。
今回のGDLは、ポテンシア特有の導電性と柔軟性により燃料電池内部の触媒層を傷つけない。さらに、撥水性に優れたトワロンを使用したことで、マイクロポーラス層(MPL)の付与が不要になり、大幅な薄型化を達成した。薄型化に伴う原材料の削減により、製造コストや環境負荷の低減にも貢献する。
今後は、他社と共同で、GDLのさらなる性能向上、環境負荷低減への貢献度の検証、GDLを用いた新たな電極膜などの開発を進めていく。
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