検討の結果、Aさんは「最も案件数の多い主力装置βの3D CADデータを移行するのが一番いいだろう。早速フォルダに置かれているデータをチェックインしよう」と考えました。
以下に、チェックイン/チェックアウトの基本的な考え方を記しておきます。
Aさんは“ある製番”で設計された装置βについて、フォルダからデータを開き、アセンブリデータ、パーツデータ、2D図面データをPDMシステムに登録しました。そして、これまでの評価用データと同じように問題がないことを確認しました。
続いて、Aさんは「製番データを登録しよう」と考えます。しかし、装置βのフォルダに格納されていた3D CADデータを用いた設計現場の実運用の状況は、以下のようなものでした(図1、図2)。
装置全体をトップアセンブリとし、その階層下に機能ごとにまとめられたユニットを持つ設計ツリー構造となっています。社内のネットワーク上の設計専用サーバには装置カテゴリー別のフォルダが用意されており、その階層下には製番ごとのフォルダが用意されています。
設計者は、自身が担当する製番ごとに流用元になるデータ(ファイル)をコピーするとともに、製番のユニークなパーツデータ、(サブ)アセンブリデータを保存しています。フォルダへのアクセス権は全設計者が持っているので、設計者であれば誰でも全てのデータを見ることができます。また、編集についても制限を設けていません。設計作業は各自が使用するPC上で行います。
図3に基づく、各設計メンバーの状況は以下の通りです。
属人的な設計運用やユニット担当者が一貫で出図まで行っており、とても煩雑な管理状況だといえます。筆者自身もバックアップと称して個人運用PCにデータを保存し、繰り返し設計変更を行った結果、サーバ上に保存されているデータ、つまり他の設計者と共有しているデータとの差異が分からなくなり、整合性がとれなくなってしまった経験があります。
あらためて、PDMシステムへのデータ移行時に注意すべき問題点について整理しておきましょう。
PDMシステムへの移行時に注意すべき問題点
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.