「Innovation SITE」では従来のような単なる機械の機能説明ではなく、なぜこの精度が出せるのか、なぜこの加工が可能なのかを、要素技術の機構などの紹介と合わせて体感できるようになっている。「今まではわれわれから提案するものを展示し、仕様や機能を説明する一方通行の提案だった。ただ、ユーザー自身が情報を入手しやすくなり、知識が豊富になっている。それに対して、われわれの機械でなぜそれができるのかをしっかりと示し、理解を深めていただく場所に変革する」(山梨氏)。
板金、切削/構機、プレスの3つエリアで延べ90機種を展示しており、その内の85%が新機種となっている。「これだけ短期間で大規模に新機種にしたことは過去にない」(磯部氏)。
2023年に2月3日に発表されたばかりのファイバーレーザー溶接ロボットシステム「FLW6000ENSISe」「FLW-3000Le」「FLW-1500MT+CR」も展示されている。FLW6000ENSISe、FLW-3000Leは新開発のNC装置「AMNC 4ie」を搭載し、顔認証による熟練度に合わせた操作画面の起動やCO2排出量のモニタリングが可能になった。
ハイエンドモデルのFLW6000ENSISeは、「AI-TAS」により実画像と3D画像の溶接線をAI(人工知能)が自動で検出して正しい溶接箇所に移動する。「CAMでロボットのプログラムを作り、現場での誤差はAIで補正すれば、完全なティーチングレスに近づく」(アマダ)。定格レーザー出力は6kWで、ロボットの可搬重量は50kg。
FLW-3000Leは従来機比で設置面積が35%減少し、省スペースになった。ロボットの可搬重量は25kgで、定格レーザー主力は3kW。「特に都市部の工場では精密板金で大きなワークを扱わないことが多い。また、設置場所の問題でロボットの導入を断念するケースもあった。それらを解決するため、ヘッドの大きさを約半分にした。工場の2階にも設置できる」(アマダ)。
FLW-1500MT+CRはハンディ溶接に協働ロボットを実装したエントリーモデルだ。これら実機の展示に合わせて、ヘッドの構造を比較しながら各機能について説明するコーナーもある。
同じく新NCのAMNC 4ieを搭載したファイバーレーザー加工機「REGIUS-3015AJe」や「VENTIS-3015AJe」といった最新機種も展示。同時に、「ENSISテクノロジー」や「LBCテクノロジー」などのアマダ独自の技術について紹介している。
ENSISテクノロジーはレーザーの光の“形”を無段階で切り替えることができ、板厚や材質に合わせて適切に変えることができる。さらに、レーザーの光の“大きさ(径)”を変化させるオートコリメーション機能を加えることで、「オペレーターが段取りすることなく、薄板から厚板まで安定した加工ができる」(アマダ)。加工開始時に貫通穴をあけるピアス時間も大幅に削減できるという。
LBC(Locus Beam Control)テクノロジーはレーザー光の軌跡を材質、板厚に応じて高速に制御する技術で、アマダが世界で初めて搭載した。「SM材やSN材、WEL-TEN、ABREXなど、これまでレーザーでは切断しにくかった鉄の厚板が、加工条件を変えることなく、同じ条件で安定した加工できる」。切断面における上下の寸法の傾きも大幅に抑えることができる。
他にも最新加工技術として、厚板の安定加工と切断時の材料の傾きを減らす「デュアルガスシステム」、ステンレスの切断面をCO2レーザー並みに滑らかにする「ファイバーシルキーカット」、小径穴の高速加工を実現する「LBCフラッシュカット」なども、それぞれ搭載機の前で説明しており、アマダの独自技術を“どのようにレーザーが動いているのか”などを見せる動く模型や動画を交えながら理解できるようになっている。その他、パンチングやベンディングなどでも同様のコンセプトで展示している。
後編ではアマダのIoT(モノのインターネット)ソリューションを展示する「Engineering FIELD」を中心に紹介する。
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