川崎重工業は、「第7回ロボデックス」において、ロボットアームの先端に付けたラインカメラで、ヘルメットなどの複雑な形状の製品を高速で自動外観検査できる「外観検査システム」をアピールした。
川崎重工業は、「第7回ロボデックス」(2023年1月25〜27日、東京ビッグサイト)において、ロボットアームの先端に付けたラインカメラで、ヘルメットなどの複雑な形状の製品でも高速で自動外観検査できる「外観検査システム」をアピールした。
外観検査は、電子基板などの平面のものは専用装置による自動化が進んでいるが、曲面のある立体的な形状のものについては、いまだに多くの製造現場で人の目視による検査が行われている。ただ、慢性的な労働人口の不足や熟練技能者の減少などからこれらを自動化したいニーズは高まってきている。
川崎重工業が出展した外観検査システムは、ロボットの手先にラインカメラを搭載し、複雑曲面を持つ製品でも自動で走査型の外観検査を行えるようにしたものだ。ラインカメラとしては検査用カメラで多数の実績を持つデクシスと連携し、両社での共同提案を進めているという。
ロボットとラインカメラを使用した自動外観検査システムは以前にも存在したが、従来は撮像領域を細分化して断続撮像する必要があり、検査に時間がかかった。一方でロボットを高速で動かし撮像をすると、カメラの撮像タイミングとロボットの動きが合わず、撮像した画像にゆがみが生まれ、正確な検査を行えない場合が多かった。
そのため、川崎重工業では新たに「高速パルス出力機能」を開発し、曲面形状に合わせてロボットが加減速した場合も、ロボットの先端移動速度に連動して自動的に正しいタイミングでの撮像トリガー信号を出力し、複雑な形状のワークの検査でも連続的に行えるようになった。「この高速パルス出力機能を開発できたことが、川崎重工業のロボットで自動外観検査を行える理由だ」(川崎重工業)。
2022年8月に発売後、多くの製造業から既に引き合いがあり、現在川崎重工業の試験検査用施設などでさまざまな検証を進めているところだという。「塗装品質の検査や、樹脂成型の形状検査などさまざまな用途での引き合いがある」(川崎重工業)。今後はカメラを固定化し、ワークをロボットに持たせて検査するようなシステムなども用意していく方針だとしている。
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