エッジコンピューティングの逆襲 特集
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» 2023年01月11日 08時00分 公開

F-35戦闘機も採用する「LynxOS」はRTOSを超えたRTOSを目指すリアルタイムOS列伝(30)(2/3 ページ)

[大原雄介MONOist]

買収した組み込みLinuxが終息、「LynxOS」が軍事/航空宇宙向けで伸びる

 話を元に戻そう。ISDCorpの買収のタイミングに合わせて当時のLynx Real-Time Systemsは社名をLynuxWorksに変更する。2000年当時は、もともと開発していたLynxOSに加え、ISDCorp由来のRoyal Linuxと、さらにオープンソースディストリビューションとなるやはり組み込み向けの「BlueCat Linux」を提供していた(図2)。これらのうち最初に製品リストから外れたのがRoyal Linuxで、これはBlueCat Linuxで代替される形になったもようだ。

組み込みLinux「BlueCat Linux」 図2 組み込みLinux「BlueCat Linux」[クリックで拡大]

 そのBlueCat Linuxは2010年ごろまで提供が続いていたが、2011年には製品ページから名前が消えている(サポートそのものはその後も続いたもよう)。ではその間LynuxWorksは何をやっていたか? というと、もちろんBlueCat Linuxの機能強化やアップデートなどを行っていたが、やはりLynxOSの強化がメインであった。

 LynxOSに加え、2003年には航空機のアビオニクス向けの規格であるDO-178Bに対応した「LynxOS-178」を発表。2007年には機能安全の対応を行った「LynxOS-SE」や、仮想化に対応した「LynxSecure Separation Kernel」をリリースしている。このLynxSecure Separation Kernelは、翌年の2008年には「LynxSecure Embedded Hypervisor」と改称されている。もちろんこうした製品の追加に加えてLynxOSそのもののバージョンアップも継続して行われており、この原稿執筆時点では2020年2月にリリースされたV7.1が最新版となっている。

 ちなみにLynuxWorksは2019年に、Lynx MOSA.icと呼ばれるモジュラー開発環境の提供を開始しており、例えば軍事向けや航空機のアビオニクス向けなど、特定用途向けのアプリケーションをLynxOS上で容易に構築するためのツールの提供も開始している。このLynx MOSA.icを利用した一番有名な採用事例が、航空自衛隊も導入したロッキード マーティン(Lockheed Martin)のF-35戦闘機(図3)のアビオニクスの開発である(システム全体なのか一部なのかなどは未公表だが)。

F35戦闘機 図3 F35戦闘機[クリックで拡大] 出所:航空自衛隊のWebサイト

 なお、LynuxWorksは2014年にLynx Software Technologiesに改称したわけだが、2022年にOceanSound Partnerというファンドの傘下に入っている。もっとも、それ以前も株式上場を行っていたわけではなくプライベートカンパニーだったので、その意味では単に親会社というかオーナーが変わっただけで、業務そのものには変化はないようだ。

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