2022 TRON Symposiumの2日目の2022年12月8日には、2019年に設立されたOpen Smart UR研究会の取り組みを紹介する講演も行われる。
会見では、INIADから徒歩5分ほどの距離にあるOpen Smart UR研究会が設計した生活モニタリング住戸も披露された。これまでOpen Smart UR研究会は、2019年にスタートアップモデル住戸を公開し、2021年にはINIAD内にスマートハウステストルームを設けるなど、IoT機器を活用したスマートハウス構築に向けての実証実験を進めてきた。坂村氏は「これらはあくまで非居住モデルであり、実際に人が住むことを前提にしていなかった。今回の生活モニタリング住戸は、実際に人に入居してもらいビッグデータを収集し、今後のスマートハウスの最適な設計を検証することを目的としている」と説明する。
スタートアップモデル住戸は広さ44m2に44個のセンサーを組み込んでいたが、生活モニタリング住戸では広さ39m2に100個以上のセンサーを組み込み、住人のさまざまなデータを収集しモニタリングを行えるようになっている。
生活モニタリング住戸は「小さくても高品質」をデザインコンセプトに、公団住宅でも国内に73万戸あるとされる板状住宅をリノベーションしている。坂村氏自身がデザインした子育て世代向け(101号室)と高齢者夫婦向け(102号室)の2つの住戸の他、UR都市機構がデザインした若年単身者向け(301号室)と壮年パートナー世帯向け(302号室)の2つも用意されている。101号室と102号室は住人に合わせた内装やスマート技術を実装したカスタマイズモデル、301号室と302号室は一般的なUR賃貸住宅にスマート技術を取り入れたベーシックモデルの位置付けとなる。
なお、カスタマイズモデルの101号室と102号室は、狭い空間を多用途に使い分けられるコンピュータ制御の“変身家具”や、玄関ドアと宅配ボックスの機能を持つ玄関ロボット家具なども組み込んでいる。
坂村氏は「Open Smart UR研究会には67社が参加しており、ICTや建築、住宅部品/設備企業だけでなく、保険や警備、インフラ、交通などのサービス企業も入っている。生活モニタリング住戸での取り組みを通して、スマートホームの価値を広く提供できるようにしていきたい」と述べている。
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