東芝がインフラなどの保守点検に用いられる超音波非破壊検査向けに超音波を通す超音波伝搬性と装置の滑らかな操作性を両立する「滑る超音波透過シート」を開発。今後、インフラ点検用ロボットをはじめさまざまな用途で社内外での活用に向けた提案を進め、2024年度末までに製品化することを目標としている。
東芝は2022年11月8日、インフラなどの保守点検に用いられる超音波非破壊検査向けに超音波を通す超音波伝搬性と装置の滑らかな操作性を両立する「滑る超音波透過シート」を開発したと発表した。今後、インフラ点検用ロボットをはじめさまざまな用途で社内外での活用に向けた提案を進め、2024年度末までに製品化することを目標としている。
新たに開発した滑る超音波透過シートは、エラストマー製の柔らかいシートとポリマー製の滑り材から構成されている。シートの表面から滑り材が飛び出た状態であれば摩擦係数が低く、検査対象となる構造物の表面上を滑らせることが可能だ。しかし、一定の荷重を加えると滑り材がシート内部に入り込んで構造物の表面と密着した状態を作り出せる。
この機能により、超音波非破壊検査装置の探触子(プローブ)の検査対象と接する面に滑る超音波透過シートを組み込むことで、検査位置の変更時には検査対象の表面上で探触子を低摩擦で移動させられる。検査時には荷重を加えてシートを検査対象に押し付けることで、超音波を伝搬させて検査対象内部の傷や欠陥の有無を見つけ出せる。
荷重を加えてから検査対象の表面にシートが密着するまでの応答時間は50msと短く、荷重を抜く際には荷重を加えるときよりも素早く元の低摩擦で移動できる状態に戻るため、超音波非破壊検査装置により多点測定を行う上でも問題のない応答性を有することも大きな特徴となっている。実際に滑る超音波透過シートを用いて多点測定を行ったところ、1秒間に10回程度の測定が可能だったという。
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