作業者にやさしい工程づくりにも力を入れた。組み立て工程では、車両について歩きながら、もしくは車内に乗り込みながら行う締め付け作業など身体的負担の大きい作業を廃止した。歩きながら行う作業は、車両と作業者が同期して部品組み付けできるようにした。車両に乗り込んで行う作業は、椅子に座ったまま作業できるアームを取り入れる。エンジンやトランスミッション、インストゥルメントパネル、シート、ハイブリッド車用のバッテリーなど大物部品は、車両を一時停止して搭載する方法に変更した。作業者の負担軽減だけでなく、品質向上にもつなげる。
作業指示書は、紙からタブレット端末に変更した。AI(人工知能)の活用や顔認証システムの導入などデジタル化を推進し、働きやすさと品質向上を図る。
塗装工程では、これまで手作業だった内板塗装などでロボットによる自動塗布を拡大している。作業者への負荷を低減することで、多様な人材が働きやすい環境を整える。
完成車輸送の物流改革も実施した。旧塗装工場の跡地に配車ヤードを移設し、従来の半分の面積で同等の台数を取り回すことができるコンパクトなヤードとした。また、工場近接のレイアウトによりリードタイムも短縮する。ヤードには屋根を設け、雨天時の車両積み込み作業にも配慮したとしている。
ダイハツは京都(大山崎)工場の改修で培った技術やノウハウを国内外に展開し、2035年の工場におけるカーボンニュートラルの実現を目指す。
ダイハツ工業のインドネシア法人であるアストラ・ダイハツ・モーターは2022年10月7日、スンター車両工場(ジャカルタ市)の第1ラインをリニューアルし、2024年に稼働させると発表した。
スンター車両工場第1ラインは設立から27年が経過。将来的な改修に向けて敷地面積が不足するなど課題があり、西ジャワ州にあるカラワン車両工場第1ラインの隣接地で新たに第2ラインとしてリニューアルさせる。投資額は2兆9000億ルピア(約275億円)。アストラ・ダイハツ・モーター全体の生産能力はリニューアル前と変わらず年間53万台となる。
新ラインでは、スポット溶接の自動化拡大や塗装効率の向上、人間工学に基づいた組み立て工程、スムーズな物流など最新の生産技術を取り入れる。また、工場の屋根には出力2100kW分の太陽光パネルを設置する。これらの取り組みにより、年間でCO2排出量を20%低減する。
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