オーディオ信号でステッピングモーターを回す【前編】注目デバイスで組み込み開発をアップグレード(5)(2/3 ページ)

» 2022年09月29日 07時00分 公開
[今岡通博MONOist]

DTMFデコーダー

 図1はDTMFデコーダーです。「MT8870」というICを搭載しています。“MT8870 DTMF Audio Decoder”などというワードで検索すると見つかるはずです。執筆時に検索したところ1米ドル以下で出品しているWebサイトもあるようでした。ただし、送料が約3米ドルかかるのでまとめて購入するなどの工夫をしないとモジュール当たりのコストに響いてきます。筆者が少し前に海外のWebサイトで購入したときは、送料込みで0.65米ドルだったのですが、半導体不足の影響でしょうか、いろいろと高騰しているようです。

図1 図1 DTMFデコーダーの外観[クリックで拡大]

 さて、あらためて図1に目を向けてください。このモジュールの左下にあるジャックがオーディオ入力端子です。これとPCのオーディオ出力端子をオーディオケーブルで接続します。3.5mm系のオーディオジャックに対応します。モノラルでもステレオでもどちらでも使えます。モジュールの上端には出力端子と電源端子が配置されています。右側からq1、q2、q3、q4端子が配置されています。表2はDTMFデコーダーのq1〜q4までの出力とデコード結果に対応するシンボルをまとめた対応表です。

Symbol q1 q2 q3 q4
1 0 0 0 1
2 0 0 1 0
3 0 0 1 1
4 0 1 0 0
5 0 1 0 1
6 0 1 1 0
7 0 1 1 1
8 1 0 0 0
9 1 0 0 1
0 1 0 1 0
* 1 0 1 1
# 1 1 0 0
A 1 1 0 1
B 1 1 1 0
C 1 1 1 1
D 0 0 0 0
表2 DTMFデコーダーの出力とシンボルの対応表

 ここでもう一度、図1のDTMFデコーダーを見てください。上側の端子列の左からVCCとGNDが配置されています。VCCには+5Vを供給してください。あと幾つか端子はあるのですが、今回は特に使いませんので説明は割愛します。基本的にはオープン(何も接続しない)状態で結構です。

ユニポーラ型ステッピングモーター

 ステッピングモーターについて少しお話しておこうと思います。基本的なことは冒頭で紹介した筆者の過去の連載記事を読んでいただくのが一番なのですが、幾つかのポイントのみ伝えします。

 ステッピングモーターにはバイポーラ型とユニポーラ型があります。バイポーラ型は制御線が少なくて済みます。一方、ユニポーラ型はコイルの中点からもタップが出ているため制御線はバイポーラ型より多くなります。ただし、ユニポーラ型は制御線が多いものの比較的簡単な回路でドライバー回路を構成できます。バイポーラ型のドライバー回路はユニポーラ型より2倍のトランジスタが必要になります。図2は、今回用いるユニポーラ型のステッピングモーター内部の電気的な接続を示しています。

図2 図2 ユニポーラ型ステッピングモーター内部の電気的な接続

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.