今回報道陣に公開したのは、主にピッキング作業に関わる「ダッシュボード」「V-SLAM」「AI画像処理」「積載量可視化」の4つのソリューションである。
ダッシュボードは、作業員や設備の稼働/移動、作業データ、需要データなどから統合的に分析を行ってボトルネックとなっている現場課題を可視化し、変動に追随したオペレーションを実現するためのものだ。進捗管理や生産性分析、動線分析、収支分析、在庫管理などさまざまな画面が用意されており、経営層、データ活用担当者、現場責任者、現場担当者それぞれが「見たい情報」を見られるような構成にしているという。
例えば、ピッキング工数に関する生産性分析の画面では、移転前の2016年12月と比較して2倍以上の効率になっていることが一目で分かる。彩都パーツセンターだけでなく、パナソニック コネクトのもう1つのサービスパーツ拠点である佐賀パーツセンター(佐賀県鳥栖市)のデータも見ることができる。
また、彩都パーツセンター内の各所に設置された大型ディスプレイ、ピッキングに用いる台車などに搭載されたタブレット端末から、このダッシュボードを使って作業に必要な情報を取得できるようになっている。
V-SLAMは、GPSが利用できない屋内倉庫の中でもカートやフォークリフトの移動状況を詳細に把握できるようにした画像解析技術である。
彩都パーツセンターの立ち上げ当初は、天井などに設置したカメラを使って棚からパーツを取り出すピッキング作業の分析を行っていた。「ここで課題になったのが、棚から棚へ作業者が移動する際の歩行ロスや待ち時間だった。しかし、作業者の移動に関するデータを取ろうとすると、カメラの設置台数を大幅に増やさなければならないが、それはコストが見合わない」(木村氏)。
そこで、ピッキング作業に用いる台車に市販の3Dセンサーを取り付け、台車が棚エリア内での位置推定を行えるQRコードを設置することで、台車とともに移動する作業者の移動状況を把握できるようになった。また、台車に3Dセンサーとは別途カメラを搭載することで、作業員の移動やピッキング作業の様子を撮影し、その映像データからの作業分析も行えるようになった。
なお、棚エリアに先行して導入されたV-SLAMは、フォークリフトエリアにも導入されている。
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