ニコンは2025年度に売上高7000億円へ、光学/EUV関連部品が成長けん引製造マネジメントニュース(1/2 ページ)

ニコンは2022年4月7日、2030年に向けた2022年度から2025年度にかけての中期経営計画を発表した。主要事業の安定化や成長事業の拡大、ソリューション提供力の強化などを通じて、2025年までに7500億円の売り上げ達成を目指す。

» 2022年04月08日 09時00分 公開
[池谷翼MONOist]

 ニコンは2022年4月7日、2030年に向けた2022〜2025年度の中期経営計画を発表した。主要事業の安定化や成長事業の拡大、ソリューション提供力の強化などを通じて、2025年度までに売上高7000億円の達成を目指す。

プロダクトアウト的発想から脱却

 ニコン 代表取締役 兼 社長執行役員の馬立稔和氏は、2019〜2021年度の前中期経営計画を振り返り、事業別の成果について述べた。

【訂正】初出時に、馬立稔和氏の顔写真が誤ったものとなっておりました。お詫びして訂正致します。(2022年4月8日13時00分)

ニコンの馬立稔和氏

 映像事業はこれまで2期連続で赤字を計上していたが、構造改革とプロ/趣味層にフォーカスした事業戦略などの実行により、安定的な黒字確保が可能な体質に変化したとする。また、精機事業は、FPD(フラットパネルディスプレイ)露光装置が収益を支えるとともに、半導体露光装置でも顧客開拓で一定の成果を出し、さらにサービス収益の堅調な推移によって事業の安定性を確保したとする。ヘルスケア事業においては事業設立以来初となる黒字化が見込まれている。コンポーネント事業はEUV(極端紫外線)関連コンポーネントの成長によって利益の柱に成長したと評価した。

 一方で、馬立氏はさらなる成長に向けた課題も残されているとして、これらを解決するための戦略として「完成品販売中心のビジネスからの進化」「映像/精機事業に並ぶ収益の柱育成」の2つを挙げた。プロダクトアウト的発想から脱却して顧客ニーズを的確に把握するとともに、完成品/サービス/コンポーネントを一体で販売していく。また、ニコンが「主要事業」と位置付ける映像事業と精機事業では収益の安定化を、今後成長を見込むヘルスケア事業、コンポーネント事業、デジタルマニュファクチュアリング事業の「戦略事業」では、さらなる事業拡大を図る。

前中期経営計画の成果と課題[クリックして拡大] 出所:ニコン

 馬立氏は2025年におけるニコンの在り方を示すコンセプトとして、「顧客の欲しいモノやコトを、顧客にとって最適な方法で実現する」というメッセージを語った。2025年までの事業展開を、顧客ニーズの本質を理解してイノベーション創出を最適な方法で実現する「顧客伴走フェーズ」と位置付け、ソリューションの提供力を強化する方針だ。

 具体的な数値目標としては、2025年度に売上高7000億円、営業利益率10%以上、ROE(自己資本利益率)8%以上を達成するという目標を掲げる。2021年度の売上高が約5500億円なので、中計期間の4年間で約1500億円の増加を目指すことになる。また、営業利益の成長計画を5つの事業領域別に見ると、映像事業では20億円増、精機事業では完成品が40億円減となるがサービス・コンポーネントで20億円増やして合計20億円減、ヘルスケア事業では合計70億円増、コンポーネント事業では100億円増、デジタルマニュファクチュアリング事業では合計90億円増をそれぞれ見込んでいる。

売り上げ7000億円達成目指す[クリックして拡大] 出所:ニコン
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