ラーニングエージェンシーが「製造業の社員に求められることの変化」についての調査結果を発表した。10年前と比べて、管理職、一般社員共に求められることが「変化した」と6割が回答。求められる社員像と実態には差があることも分かった。
ラーニングエージェンシーは2022年3月30日、「組織・チームの在り方の変化に関する意識調査」のうち、製造業に携わる758人から得られた「製造業の社員に求められることの変化」についての結果を発表した。「製造業の社員に求められることの変化」は、この10年間での管理職、一般社員(非管理職)に求められる役割の変化と現在の実態を現場の社員の視点から調査したものだ。
初めに、「10年前と比べて、求められる管理職像は変化したと思いますか」と尋ねたところ、59.7%が「はい(変化した)」と回答した。「10年前と比べて、一般社員に求められることは変わったと思いますか」という問いには、62.7%が「はい(変わった)」と回答。どちらも約6割が「変化した」と回答している。
以降は、製造業で求められる管理職や一般社員の姿が10年前と比べて「変わった」と回答した人にのみ質問した。
10年前に求められていた製造業の管理職像として、最も多かった回答は「トップダウンで物事を進める」(77.1%)だった。2位は「部下に自分の模倣を求める」(62.5%)、3位は「前例を踏襲する」(57.4%)となっている。この順位は製造業を除く全業種(他業種)と同じだった。
現在求められている管理職像は、「コンプライアンスやモラルを重視する」(82.8%)が最も多かった。2位は「時間内で効率的に終わらせる」(79.5%)、3位は「自ら何をすべきかを定義し、遂行する」(72.9%)となっている。
製造業では、コンプライアンスやモラルへの意識と意思決定の在り方に特に変化が見られた。「コンプライアンスやモラルを重視する」は、10年前の9.3%から73.5ポイント増加し、最も大きく変化している。意思決定の在り方については、「トップダウンで物事を進める」が56.9ポイント減少。「ボトムアップで物事を進める」は55.1ポイント増加している。
現在求められている管理職像を他業種と比較すると、製造業は他業種よりも「企業利益を重視する」が6.3ポイント高く、「トップダウンで物事を進める」が5.8ポイント高いなど、従来型の管理職像も比較的多く選ばれている。
現在の管理職の傾向を見ると、他業種よりも従来型の働き方がやや多い傾向があった。製造業における現在の管理職の傾向として多かったのは、「トップダウンで物事を進める」で48.3%を占め、他業種より4.6ポイント高かった。次の「前例を踏襲する」は46.6%で、他業種より6.4ポイント高くなっている。
製造業において、現在求められている管理職像と管理職の傾向を比べてスコア差が大きかった(求められている管理職像に対して実際の管理職の傾向が少ない)項目は、「自ら何をすべきかを定義し、遂行する」(47.1ポイント差)、「ボトムアップで物事を進める」(45.4ポイント差)、「前例にないことを行う」(43.8ポイント差)だった。
次に、10年前と管理職像が変化した理由を3つまで選んでもらった。その結果、他業種と同様に、1位は「働き方(雇用形態や勤務時間、場所など)が多様化した」(65.7%)で、2位は「市場環境が変化、複雑化した」(53.7%)となった。3位は他業種と異なり、「求められる成果がより高くなった、難易度が増した」(41.6%)で、他業種に比べ、7.4ポイント高くなっている。「その他」を除いて、製造業の中で最も少なかった「ビジネス、業務のやり方が以前と変わった」(29.9%)は、他業種より4.4ポイント低かった。
管理職に求められるスキルや知識についても尋ねた。10年前に比べて特に重視されるようになってきたと思うものは、「マネジメント」(64.5%)が最も多かった。他業種より5.0ポイント高くなっている。2位は「リーダーシップ」(41.9%)で、他業種より8.3ポイント高かった。他業種の2位で46.3%が回答した「IT、デジタルに関するリテラシー」は、製造業では5位で6.7ポイント低い39.6%となっている。また、「共感力」は、他業種よりも5.2ポイント低い33.7%だった。
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