BLE対応の小面積、低消費電力RFトランシーバー技術を開発組み込み開発ニュース

ルネサス エレクトロニクスは、Bluetooth Low Energyに対応した、2.4GHzのRFトランシーバー技術を発表した。広範囲にインピーダンスを変更できる整合回路技術と、キャリブレーション回路を不要にした基準信号自己補正回路技術を開発している。

» 2022年03月15日 08時30分 公開
[MONOist]

 ルネサス エレクトロニクスは2022年2月24日、Bluetooth Low Energy(BLE)に対応した、2.4GHzのRFトランシーバー技術を発表した。広範囲にインピーダンスを変更できる整合回路技術と、キャリブレーション回路を不要にした基準信号自己補正回路技術を新たに開発している。

キャプション BLE用RFトランシーバー回路の試作チップ 出所:ルネサス エレクトロニクス

 新開発の整合回路技術は、2個のインダクターと4個の可変キャパシターで構成される。整合回路に用いる送信側のインダクターと受信側のインダクターを同心円状に形成することで、相互誘導を発生させる。これにより信号ロスを抑え、インピーダンス可変範囲を拡大。併せて、小型化も可能とした。

 インピーダンスの不整合を示す電圧定在波比(VSWR)は、最大6.8まで対応。インピーダンスは約25〜300Ωの範囲で可変できる。

 また、新しい自己補正回路技術は、異なる4つの位相を有する基準信号(局部発振信号)を相互に補正することで、位相誤差をキャンセルする。小さな回路でも使用可能で、既存のキャリブレーション回路と比較してサイズを約12分の1に抑えた。

 イメージ信号除去比は平均39dBとなっており、Bluetooth規格に対して十分なマージンを確保した。

 22nm CMOSプロセスを用いてBLE用RFトランシーバー回路を試作したところ、電源系を含む回路面積を0.84mm2まで小型化できた。消費電力も受信時3.6mW、送信時4.1mWに抑えている。

 今回開発した技術は、BLEに限らず、RFトランシーバー全般に適用できる。同社では今後、実用化に向けてさらなる開発を進める。

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