2021年のグローバル生産を足止め、半導体不足、部品供給や物流の混乱自動車メーカー生産動向(3/4 ページ)

» 2022年02月24日 06時00分 公開
[MONOist]

三菱自動車

 8社の中で最も高い伸び率を示したのが三菱自動車だ。2021年のグローバル生産台数は、前年比22.8%増の104万9174台と3年ぶりにプラスへ転じた。ただ、2019年実績と比べると23.3%減という実績で、半導体不足による稼働調整などが影響した。海外生産は前年比33.4%増の60万9586台と3年ぶりに前年実績を上回った。前年がコロナ禍で低迷していた東南アジアでの回復が貢献しており、インドネシアが同78.0%増、タイが同35.5%増と主要市場がそろって大幅に増加。「エクスパンダ―」や「トライトン」が好調だった。一方、いち早く市場回復が進んだ中国は同19.7%減と低迷した。

 国内生産は前年比10.7%増の43万9588台と3年ぶりに増加した。2019年との比較では約3割減で、本格回復とは言い難い。国内販売では「デリカD:5」や「eKスペース」がけん引した他、新型「アウトランダー」が好調な北米向け輸出も同68.2%増と貢献した。

 12月単月のグローバル生産は、前年同月比8.5%増の8万8759台と9カ月連続のプラス。要因は回復が進む海外生産で、同28.9%増の6万3132台と10カ月連続で増加した。主力拠点のタイが同36.0%増と好調に推移した他、前年が低迷していたインドネシアが同2倍超と貢献した。一方、中国は同21.5%減と振るわない。

 状況が大きく変化したのが国内生産だ。主力モデルの「eKスペース」および日産自動車向けにOEM供給する「ルークス」で、エアバッグの不具合が発覚。12月3日から生産を停止した。これにより12月の国内生産は前年同月比22.0%減の2万5627台と9カ月ぶりにマイナスへ転じた。eKスペース/ルークスは2月まで出荷を停止したため、国内生産はしばらく厳しい状況が続きそうだ。なお、フルモデルチェンジして12月に国内向け販売を開始した新型「アウトランダーPHEV」は、事前受注が月販目標の約7倍と好調で、12月の販売台数も前年同月比6倍となった。

ホンダ

 ホンダは、半導体不足の影響が顕著に表れた。2021年のグローバル生産は、前年比6.0%減の413万6018台と3年連続で前年実績を下回った。中でも厳しいのが国内生産で、同15.6%減の61万5587台と3年連続のマイナス。減少幅もCOVID-19感染拡大により生産調整を余儀なくされた前年と比べて2.1ポイント悪化した。

 ホンダの国内生産は、半導体など部品の供給不足の影響で月ごとの増減のバラつきが大きく、2021年は5月や9月に前年比で半減した。車両の安定供給が難しいことから、国内最量販車種の「N-BOX」も半導体不足による生産調整を余儀なくされており、2021年の国内販売車名別ランキングではトヨタ「ヤリス」に抜かれ、5年ぶりに首位から陥落した。また、人気の新型車「ヴェゼル」はグレードによっては納期が1年以上まで伸びており、ハイブリッド車の上級グレード「PLaY」は、2021年10月からの受注停止が4カ月経ってもなお続いている。

 足元でも依然として部品供給難が影響を及ぼしている。通常操業に戻った12月単月の国内生産は前年同月比8.0%増の6万6411台と2カ月連続で増加したが、挽回生産を計画していた1月以降は、半導体不足の長期化により計画修正を迫られている状況だ。

 海外でも部品供給に悩まされた。2021年の海外生産は、前年比4.1%減の352万431台と3年連続のマイナスとなった。最大市場の中国は、年初にCOVID-19の感染が始まった前年の反動増が発生したものの、半導体など部品供給の支障により5月以降は2桁パーセントの前年割れが続いた結果、同4.1%減の157万8210台と9年ぶりの前年割れとなった。

 中国が低迷した一方、東南アジアは回復したことで、アジアトータルでは同0.4%増と3年ぶりのプラスとなった。中国と並ぶ主力市場の北米は、前年の挽回生産の反動やサプライチェーンの混乱などにより同10.3%減の130万1172台と5年連続で減少した。

 海外生産では国内以上に厳しい状況が続いている。12月単月の海外生産は前年同月比15.8%減の30万8666台と7カ月連続のマイナス。特に北米が同22.7%減の9万723台と低迷し、7カ月連続で減少した。中国も同13.5%減の16万3259台と8カ月連続の前年割れで、アジアトータルでも同9.4%減と7カ月連続のマイナスだった。その結果、12月のグローバル生産台数は同12.4%減の37万5077台と7カ月連続で前年実績を下回った。

日産自動車

 日産の2021年のグローバル生産台数は、前年比1.2%減の358万5153台と4年連続で前年実績を下回った。6月までは前年のCOVID-19感染拡大による生産停止の反動増でプラスを維持したものの、後半は半導体不足などの影響が広がり、年間トータルでは微減となった。国内生産は同2.5%減の49万6577台で4年連続のマイナス。前年の減産の反動増や、国内向け「ノート」「ノートオーラ」の新型車効果などプラス要因はあったが、9月以降は部品供給の環境が急速に悪化し、2桁パーセント減が続いた。

 海外生産も同1.0%減の308万8576台と微減で、4年連続の前年割れ。地域別では、米国で「ローグ」、メキシコで「キックス」の増加により、北米は同3.7%増の98万7941台とプラスへ転じた。一方、足を引っ張ったのがコロナ禍からの回復が早かった中国で、半導体不足なども重なり、同7.8%減の132万8792台と低迷した。

 日産は足元でも部品供給による影響が深刻さを増している。12月単月のグローバル生産は前年同月比23.6%減の30万3715台と6カ月連続で前年実績を下回った。8社のグローバル生産では最も大きな落ち込みとなった。中でも厳しいのが国内生産で、同48.4%減の2万9662台と4カ月連続で減少した。半減近い落ちこみは日産のみで、輸出も同59.4%減と急減した。海外生産も同19.4%減の27万4053台と6カ月連続のマイナス。米国の同18.7%減をはじめ、メキシコが同33.8%減、英国が同29.1%減、スペインが56.8%減、中国が同10.4%減と大幅減が目立った。

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