FRONTEOは2022年2月17日、言語分析AIを活用して事故のリスクを事前予測する、製造/建設現場向けソリューション「WordSonar for AccidentView」を発売すると発表した。現場情報や日報などの記録をAIで解析して、巻き込みや転倒転落事故などのリスク要因を可視化する。
FRONTEOは2022年2月17日、言語分析AI(人工知能)を活用して事故のリスクを事前予測する、製造/建設現場向けソリューション「WordSonar for AccidentView」(以下、WordSonar)を発売すると発表した。現場情報や日報などの記録をAIで解析することで、巻き込みや転倒転落事故などのリスク要因を可視化する。
WordSonarは言語分析AI「Concept Encorder」を活用することで、文章の意味情報を分析し、工場や建設現場などでの事故のリスク要因を見える化するソリューションだ。
使い方は、まず、現場データや過去の災害データ、日報、インシデント集といったデータに加えて、天候や地域データなどをConcept Encorderに入力する。紙などのアナログデータはOCR(Optical Character Reader)などでデジタル化した上で取り込むことになる。これらのデータ群の内容を整備、分析して、現場で生じやすい事故を「転倒、転落」「激突」「切れ、こすれ」などの指標で分類して、どの発生リスクが高いかをグラフで示す。例えば、「結露」や「足元の整理」などに関連する内容が入力データに含まれていた場合、「転倒、転落」事故のリスクが高まっていると判断される。
FRONTEO ライフサイエンスAI CTO 兼 ニューロ言語科学研究所 所長の豊柴博義氏は、テキストデータによるリスク分析のメリットとして「映像や画像を基にした他の事故予兆検知ソリューションは、検知するタイミングが事故発生の直前になることもある。一方で、テキスト分析は現場環境に潜在するリスク要因をより早期の段階、数日前からでも把握できるようにする」と説明した。
Concept Encorderは単純な単語分析、検索にとどまらない、文章同士の意味のつながりをAIで分析することで、これまで作業者や安全管理担当者が意識してこなかったリスク要因などを可視化する。FRONTEOが展開していた医療業界向けの転倒転落事故防止ソリューション「Coroban」でも活用されており、実際に病院内で患者が事故に遭った際のアラートの発報率などを低減する効果を確認したという。
技術的には、読み込ませた文書の内容を単語や文章の持つ意味ごとの塊に分類して、座標空間上にプロットし、点の位置関係から文章の類似性などを判定している。豊柴氏は「プロットを行う座標空間は数百次元にも及ぶことがある。これをそのまま解析しようとすると非常に大きな演算リソースが必要になるが、当社は特許技術によってコンピュータの負荷を圧縮できるため、軽量な動作が可能になった」と説明する。
これによって文章内で単語や表記に揺れがある場合でも、AIが同一内容であると自動的に判定できる仕組みになっている。こうした類似性の判定に使われる教師データの調整はWordSonarの利用者側でも行える。例えば、「雨の中でのクレーン作業」とWordSonar上の検索ボックスに入れると、過去の作業事例がリストで表示する。その中から類似している内容だけを選択してチェックすると、修正が反映される。こうした修正の容易さは、Concept Encorderの処理負荷の軽さから実現できたものだという。
安全管理責任者や現場責任者は、事故の発生リスクを現場全体で、あるいは個別の現場ごとにグラフで確認できる。現場担当者にはスマートフォンアプリを通じて、注意すべきポイントをまとめて送信することも可能だ。
利用料金は対象となる現場の数などで変動するため、非開示としている。
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