特徴は大まかに分けて「自動充電機構」「開閉機構」「精密着陸の技術」の3つ。「自動充電機構」は、ACSL-PF2の脚部に追加で設置する給電部に自動で位置合わせを行ってから接触充電を行えるようになっている。例えば、ドローンの着陸位置がドローンポートの中央からずれたとしても、位置決め機構によってドローンを中央に動かすことで確実な接触充電を可能にしている。また、充電回路システムも新たに設計した。
シェルターとなる「開閉機構」によって、待機時のドローンを格納して風雨からの保護や温度管理を行えるので、安定した運航とドローンの長期運用が可能になる。シェルターは白色遮熱塗装を施しているので、夏季の直射日光による温度上昇を抑制できる。併せて、床下のファンによって冷気の取り込みも行える。低温環境によるバッテリーの容量低下などが課題になる冬季は、保温ヒーターでバッテリーを保護し、積雪についても保温ヒーターによる融雪とシェルターの傾斜構造で対応できる。これらの機能によって、ドローンを年間365日運用できるようになるという。また、シェルターを樹脂製とすることで、開閉機構を閉じた状態でもセルラー通信やGNSSの受信を行えるようにした。
「精密着陸の技術」では、ACSL-PF2の機能である2次元バーコードを用いたマーカー着陸に対応している。この他、安全対策用の非常停止スイッチ、ドローンの夜間運用に対応するためのLED照明も備えている。ドローンポート内部を遠隔監視するための監視カメラも開発中である。
今後の開発の方向性では、ACSL-PF2以外のドローンへの技術展開として、ACSLが2021年12月に発表した国産ドローン「SOTEN」などへの対応を検討している。SOTENが国内の公共分野をはじめ一定の採用が見込まれることから、自動充電機構については非接触充電の採用も候補に挙がっているという。
湯浅氏は、TOAプロジェクトで今後注力していく第1弾領域としてカーボンニュートラルを挙げた。ドローンポート自身のエネルギーを自己完結で賄い、ドローンを自動で飛行させることを目指す。これによって、ドローンを運ぶために使用していたクルマなどのCO2排出を低減できるようになる。また、CO2削減で重要な役割を果たす森林を管理するドローンを用いたソリューションの開発にTOAプロジェクトとして取り組む方針を打ち出した。
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