IIFES 2022では、こうした方向性を示す3つのメイン展示を用意した。1つ目は、リチウムイオン電池の製造工程をイメージしたRoll to Rollの多軸制御を示すものだ。7個のモーターと各種センサー入力をモーションコントローラー「GM1」で制御するデモを行った。
これらの複雑な制御プログラムを構築するのは現場にとって大きな負荷がかかるが、機能を果たすプログラムを事前に組んでブロック化したファンクションブロックを用意することで、これらの組み合わせにより簡単に実現できるようにしたことが特徴だ。ファンクションブロックは国際標準などを踏襲しながら独自で作成しており、今回のデモでは7つのファンクションブロックを活用しているという。また、既に用意済みのファンクションブロックは100以上あり、これらの組み合わせで、負荷を小さく課題解決を実現できるようにする。
2つ目は「製造の未来」をイメージし、パナソニックの各種デバイスの組み合わせにより、従来は自動化が難しかったフレキシブル基板の挿入など、組み立ての自動化ラインを出展している。フレキシブル基板などの柔らかいもの(不定形なもの)は、機械での認識や作業が難しいが、パナソニックが抱えるセンシング技術やモーション技術を組み合わせることで複雑な作業をシステムとして実現できるようにした。また、各種作業それぞれで見える化なども実現し、作業の品質と組み合わせ、トレーサビリティーなどを確保できるようにしている。
3つ目は、他社との協業などを通じた、オープンイノベーションの実現である。事例として、株式会社広島(以下、広島)が展開するレーザー樹脂溶着装置での協業について紹介している。これはパナソニックのレーザー溶着工法技術と、広島の加圧およびレーザー関連装置のノウハウを組み合わせて実現したものだ。部品ケースなどをレーザーで溶着する。試作向けの研究開発用途の他、量産モデルなども既に展開しており、実績も生み出しているという。
既にFA領域でのソリューションシフトは多くの企業が行っているが、パナソニックの強みについて池田氏は「1つはセンサーやコントローラー、モーションなど扱う製品の幅が広いということが特徴だ。これらをベースとしつつ『現場が自分でできる世界』を広げていくのがパナソニックのFAソリューションの方向性だと考えている。変種変量が中心となる中では、現場が自律的に判断して変化していくのが工場の将来像だと考えている。その中では専門家が必要な領域を押さえ、簡単に現場で使えるものを広げていきたい」と語っている。
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