ルノー日産三菱は2030年までに35車種のEV、エンジン車と真っ向勝負のセグメントも電気自動車

ルノー・日産・三菱自動車アライアンスは2022年1月27日、2030年に向けた事業計画を発表した。

» 2022年01月28日 06時00分 公開
[齊藤由希MONOist]

 ルノー・日産・三菱自動車アライアンスは2022年1月27日、2030年に向けた事業計画を発表した。

 今後5年間で電動化に総額230億ユーロ(約2兆9600億円)以上の投資を行い、2030年までに35車種の新型EVを投入する。そのうち、90%の車種は5つの共通EV(電気自動車)プラットフォームをベースとし、ほとんどの市場をカバーする。アライアンスでは2009年から今日まで累計100万台のEVを生産した。2026年までには年産150万台以上を目指す。

共通EVプラットフォーム
セグメント 対象モデル 生産規模
軽専用 - -
CMFA-EV ダチアの新型車「スプリング」のベース -
CMFB-EV ルノー「R5」、日産「マイクラ」の後継モデルで使用するコンパクトEV向けのベース。2024年に投入。
デザインは日産、開発はルノーが担当、生産はフランス北部のルノー・エレクトリシティで行う。最大400kmの走行距離を確保し、現行のルノー「ゾエ」と比べてコストを33%低減し、消費電力を10%以上改善する。
ルノー、アルピーヌ、日産の各ブランドでそれぞれ年間25万台分のEVのベースとなる。
CMF-EV 日産「アリア」やルノー「メガーヌE-Techエレクトリック」のベース。高性能な新型モーターや超薄型バッテリーを搭載する。 2030年までに5ブランド15車種以上で採用、最大で年間150万台が生産される。
LCV(小型商用車)専用 ルノー「カングー」や日産「タウンスター(e-NV200の後継車)」のベース。ルノーが生産する。 -

 マイクラの後継モデルとなるEVは欧州市場で投入する。CMFB-EVはEVの民主化のカギを握ると位置付け、競合他社のBセグメントのエンジン車と“真っ向勝負”する。エンジン車のCMF-Bプラットフォームから、非電動コンポーネントの60%をキャリーオーバーし、コスト競争力を高める。

マイクラの後継モデルとなるEVのデザインイメージ[クリックで拡大] 出所:日産自動車

 アライアンス全体では、全車種におけるプラットフォームの共用化率を現在の60%から2026年には合計90車種の80%以上にまで高める。共通プラットフォームではあるが、コストや競争力を高めながら、モデルごとに独自のスタイリングやインテリアを実現し、ブランドの個性を保つ。アッパーボディーの部品共有では、内装やライト類、外装パーツを共有する例から、個別デザインの内外装まで段階を設ける。

 例えば、C/Dセグメントの共通プラットフォームでは、アライアンスの3つのブランドで5車種を開発する。日産の「キャシュカイ」と「エクストレイル」、三菱自動車の「アウトランダー」、ルノーの「オーストラル」の他、7人乗りSUVを展開していく。また、三菱自動車は、ルノーのハイブリッド車(HEV)やEV、プラグインハイブリッド車(PHEV)から最量販車種をベースにした新型車「ASX」をはじめとする2つの新型車を投入し、欧州でのプレゼンスを強化する。2023年の早い段階で1車種目を発売し、2023年末に2車種目を投入する。

 バッテリーコストの削減にもアライアンスで取り組み、2026年には50%減、2028年には65%減を目指す。バッテリーの生産能力は、2030年までに世界合計で220GWhを確保する。100万台のEVを販売してきた実績の中で得られた電池の使われ方の知見やノウハウを生かした、バッテリーマネジメントシステムや残存性能の保証にも注力する。

 全固体電池では、エネルギー密度を2倍に向上するとともに、充電時間を3分の1に短縮する。2028年半ばまでに全固体電池の量産を開始し、将来的に1kWhあたり65ドルまでコストを下げることでエンジン車と同等のコストを実現していく。

ADASやコネクテッドカーも

 運転支援技術は、2026年までにアライアンス全体で45車種に展開する。台数規模としては1000万台以上の販売を見込んでいる。

 クラウド接続の車両は既に300万台あり、アライアンス・クラウドと常時データのやりとりをしているという。2026年までに年間500万台以上の車両にアライアンス・クラウド・システムを搭載、市場で走行するコネクテッドカーを2500万台まで増やす。また、アライアンス全体でGoogle(グーグル)のエコシステムを車両に搭載する。

 E/E(電気電子)アーキテクチャはルノーが技術開発を主導し、ハードウェアとソフトウェアのアプリケーション統合を進める。2025年までに完全にソフトウェア定義(Software Defined)の車両を市場投入し、クルマのライフサイクル全体を通じて、無線ネットワークによるアップデート(OTA:Over-The-Air)でパフォーマンスを向上させる。

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