京セラが今後の持続的な成長に向けた事業戦略について説明。2021年度の連結業績は、売上高が過去最高となる1兆7500億円を達成し、経営指標とする税引前利益率も10%以上に向上する見通し。「成長に向けた新たな取り組みを進めることで、新たな目標として売上高3兆円を目指す」(同社 社長の谷本秀夫氏)という。
京セラは2021年11月25日、オンラインで会見を開き、今後の持続的な成長に向けた事業戦略について説明した。2021年度(2022年3月期)の連結業績は、売上高が過去最高となる1兆7500億円を達成し、経営指標とする税引前利益率も10%以上に向上する見通し。「これまでは売上高2兆円を目標としてきたが早期に達成できそうだ。成長に向けた新たな取り組みを進めることで、新たな目標として売上高3兆円を目指す」(同社 社長の谷本秀夫氏)という。
同社の2020年度業績はコロナ禍の影響などもあって前年度比で減収減益となったが、2021年度業績は売上高が前年度比14.6%増の1兆7500億円、営業利益が同106.7%増の1460億円、税引前利益が同61.6%増の1900億円、当期利益が同54.1%増の1390億円とV字回復を果たす見通しだ。
この業績回復は、コロナ禍でも成長投資と経営基盤の強化に向けた取り組みを継続したことによるものだ。谷本氏が社長に就任した2017年度以降、研究開発と設備投資で積極的な投資を続けており、研究開発費と設備投資額の合計額は2017年度の1448億円から、2021年度には1000億円以上増の2600億円となる見込みだ。設備投資では、旺盛な半導体や5G関連を中心に競争力の高いセラミック関連部品の増産を国内外で進めている。谷本氏は「足元でもこれらの部品需要は活発で、2022年度も2000億円規模の設備投資を行う予定だ」と語る。研究開発体制でも、ソリューションセグメントで印刷機器を手掛ける情報機器、スマートフォンなどを扱う通信機器におけるソフトウェア開発力の強化に向けたみなとみらいリサーチセンター(横浜市西区)を新設し、コアコンポーネントと電子部品の両セグメントと関わる材料やデバイスの研究開発リソースをけいはんなリサーチセンター(京都府精華町)に集約するなどの取り組みを進めてきた。
利益面での改善では、通信機器、有機パッケージ材料、太陽光パネルを扱うスマートエナジーなどの課題事業について、生産拠点の統合など抜本的な構造改革を行うとともに、特徴ある製品に特化するなどの施策を進めて黒字化を果たした。M&Aも積極的に進めて、特に機械工具やドキュメントソリューションで事業領域を拡大させてきたという。
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