第4のコンピューティング時代には、エッジ領域にある数十億台の新しいICAPSデバイスがデータ生成量を急激に増加させるので、これをクラウドで処理する必要がある。
それと同時に、私のもう一人の同僚Nirmalya Maityも前にブログで述べているが、ムーアの法則に沿った従来の2Dスケーリングが減速しているため、ハイパフォーマンスコンピューティングや機械学習、推論などに必要なトランジスタを1枚のダイ上に載せるのはますます困難となっている。ヘテロジニアスなデザインとインテグレーションが大手半導体メーカーやシステム設計会社に重視され始めたのはそのためだ。この手法を使うことで、デザインを柔軟に分散して面積当たりコストの節減が図れる一方、分けたものを先進パッケージにインテグレートすることで消費電力と性能の最適化も可能になる。この新たな柔軟性に加え、回路情報(IP)再利用の機会も生まれるので、市場投入の迅速化も図れる。つまり、ヘテロジニアスデザインと先進のパッケージング技術はPPACt改善の担い手となるのだ。
アプライド マテリアルズは、「PPACtを可能にする企業」を目指しており、この度、先進パッケージングに関する幾つかの発表を行った。
BE Semiconductor Industries N.V.(Besi)との協業をさらに強化して、ダイベースのハイブリッドボンディングを行う協調最適化された実証済み装置ソリューションを提供する。さらに、ハイブリッドボンディングに向けた先進的なソフトウェアモデリングとシミュレーション機能およびテストビークル生産能力を顧客に提供している。こうした機能は全てシンガポールにある当社Advanced Packaging Development Centerでまとめて提供され、既に顧客とのコラボレーションが始まっている。
9月8日付で、EV Group(以下EVG)との間で共同開発合意を結んだことを発表した。これはウエハー・トゥ・ウエハー ハイブリッドボンディングに関する協調最適化された製造ソリューションの提供を目指すもの。このコラボレーションにより、アプライド マテリアルズの成膜、平坦化、イオン注入、計測、検査などの専門技術と、EVGが得意とするウエハーボンディング、ウエハー前処理および活性化、アラインメントとボンドオーバレイの計測などの技術を組み合わせることができる。
先ごろTango Systemsを買収し、300mmシリコンウエハー基板では避けられなかった面積上の制約を大きく緩和する計画を発表した。これにより、最大600×600mmの四角い基板に微細ピッチの配線を施したより大型で先進的なパッケージ設計が可能となる(図4)。アプライド マテリアルズはこの他、自社のディスプレイ事業グループが持つ電子ビームレビュー装置などの技術も顧客が活用できるようにする。
要約すると、AI時代の到来でエッジからクラウドまで成長に拍車が掛かる中、業界ではこの成長の時代を支えるため、最先端分野からICAPSや先進的パッケージング技術にかけて広く同時にイノベーションを進める必要がある。そうすることでデータ生成とAI処理の好循環が生まれ、数兆ドル規模の経済価値がもたらされるだろう。
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