第4のコンピューティング時代に求められるのは先端ロジック・メモリチップだけではないアプライド マテリアルズ ブログ(1/3 ページ)

米国の大手半導体製造装置メーカーであるアプライド マテリアルズ(Applied Materials)のブログの抄訳を紹介する本連載。今回は、同社のMaster Classイベントで発表されたヘテロジニアスデザインと先進のパッケージング技術についてさらに掘り下げる。

» 2021年11月19日 10時00分 公開
[MONOist]

本記事は「Applied Materials Blog」の抄訳です。



 アプライド マテリアルズは9月8日、今年3回目となるMaster Classイベントを開催した。テーマは半導体業界で急成長中の2つの重要な分野、すなわちICAPSと先進的パッケージングだ。ICAPSはIoT(モノのインターネット)、通信、自動車、パワー、センサーの頭文字をとったもので、この分野はファウンドリ・ロジックの3つの最新ノードを除くあらゆるノードを網羅している。先進的パッケージングというのは、ヘテロジニアスデザインのことだ。ムーアの法則に沿った従来の2Dスケーリングが減速する中で、半導体メーカーやシステム設計会社がPPACt(消費電力、性能、面積当たりコスト、市場投入までの期間)のロードマップを推進するためにヘテロジニアスデザインを採用する傾向が強まっている。

 これら2つのテーマは、一見すると同じイベントで取り上げる理由が分かりづらいかもしれないが、実はICAPSと先進のパッケージング技術には共通点がある。どちらも、現在、私たちが迎えている第4のコンピューティング時代を強力に支える役割を果たし、シリコンチップや機器への需要をかつてないほど高めている。詳しく説明しよう。

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第4のコンピューティング時代

 2018年、機械が生成するデータの量が人間の生成するデータ量を初めて上回った。私たちは、この節目の年をもって第4のコンピューティング時代が幕を開けたと見ている。つまり、IoT、ビッグデータ、AI(人工知能)が半導体産業に新たな成長の波をもたらし、第2と第3のコンピューティング時代を象徴するPCとスマートフォンの市場を補完しようとしているのだ(図1)。2025年までには、1年に生成されるデータ量の99%が機械由来のものとなると考えている。

図1 図1 2018年は第4のコンピューティング時代の幕開け。IoT、ビッグデータ、AIが半導体に新たな成長の波をもたらしている[クリックで拡大]

 データの大半は、ネットワークのエッジ領域にある数十億台規模のIoT製品が生成すると見られ、利用分野は農業、ファクトリーオートメーション、ヘルスケア、ホームセキュリティなど多種多彩になるだろう。こうしたIoT製品の機能や実世界とのやりとりを担うのが、CMOSイメージセンサーやMEMSデバイス、RF通信チップ、パワーデバイス、アナログ−デジタルコンバーターなどのICAPSデバイスだ。同僚のMike Chudzikが先月のブログで例えたように、ICAPSはコンピュータの目と耳、さらには鼻や皮膚などの役目を果たし、実世界を感知して情報を生成するとともに電波で通信を行うのである。クラウドデータセンターはさしずめ分散システムの脳にあたるが、脳の方が重要とは言い切れないのではないだろうか。事実、スマートフォンに搭載されている半導体の約70%はICAPSチップで、これがなければスマートフォンはただの電卓にすぎないし、ICAPSなしには自動運転車の実現もおぼつかないだろう。

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